シンポ続き。レイトブルーを摘み取りに行く
 ブルーベリーシンポジウムの会場である三春町へ、シンポが終わってからオレは遊びに行ってみた。
でも梅雨の長雨があいにく一週間以上続いてさ。
オレが行ったのは収穫後半になってからだ。
ブルークロップの中生品種は熟期を過ぎてしまい、痛んでしまって、一見、大丈夫そうに見えても、果実をつまむとフニャっとする。

 あと、スズメの猛攻で、果実の突っつかれが酷い!。
シンポジウムのときはスズメの被害は少なかったが、その後だいぶ経ってからの訪問時は、スズメの数が増えていた。
突っ突かれ被害が累積といったところだ。
収穫初期は、スズメはまだ覚えていなかったのだろう。
だが覚え出すと、繰り返し繰り返し、スズメがしつこく来襲!。

 しかもだんだん仲間のスズメの数が増えてくる。
追い払って恐怖を覚え込ませたつもりでも、トリアタマなのか、遠くまで飛び去らず、またまた執拗にやってくる。
10メートル隣で人間様が作業していても、飛来してはブルーベリーを突きまくる。
このようなスズメの対策は、防鳥ネットを設置するのが定番だけどね。
でも、ネットには費用がかかる。

 スズメは網目20ミリでも入ることがあるとのことなので、もっと細かい網目15ミリがいいといっても、その15ミリサイズはなかなか売っていないし、編目が細かいと値段も高くなる。
しかも重くなるし、支柱も立てなくてはならないし、手間も出費も大変だ。
しかし、述べ3回目の訪問となったとき、鳥の悲鳴テープを大音量で流す、という防鳥機器が、新たに設置されていた。

 「ギエエーッ!、ヒィィーーッ!、ギャアアアッ!」という断末魔の鳴き声で、人間が聞いても「何があったんだ?」と恐怖と不快感を感じるほど。
ヒヨドリかムクドリだか捕まえて、暴行を加えながら録音したんじゃないかなー?(米国製)。
凄い悲鳴というか、鳥の警戒音を流すわけだ。

 シンポジウム当日には他の園でも流されていたが、ここの訪問した園では当時は採用していなかった。
が、スズメの猛攻で毎日の被害に懲りたのか、その後になって、急いで新規購入したようだった。
この大音声は、スズメにも恐怖と不安を煽るとみえて、ブルーベリー園への飛来数は大幅に減っていた。
なかなか効いているぞぉー。

 音声のスピーカーは、クルマのバッテリーで駆動させる。
元々はアメリカ製で、空港で鳥を追い払うのに使われている物、だそうだ。
飛行機のジェットエンジンに鳥を吸い込むと、大事故の原因になるしな。

 スズメも毎日聞いていれば、いずれは音声に慣れてしまうかもしれないが、ブルーベリー収穫期の短期間だけ効けばいいわけだから、充分間に合いそうだ。
機器の購入費用は3万円もするけれど、防鳥ネットの設置費用に比べればずっと安い。



 さて、ここの園で、レイトブルーという晩生品種を、オレは初めてたくさん見かけた。
晩生は「ばんせい」とも読めるが「オクテ」とも読む。
オクテといえば、人間に対してもオクテという表現があるが、奥手と当て字を使うこともあるが、成熟が遅いという意味で同じ意味だ。

 ついでにいえば、早生=ワセ、で、人間にワセとは言わないが、マセてるとか言うね。
ブルーベリーで早いものでいえば、アーリーブルーかな。
レイトブルーは、名前のとおり熟すのが遅い。
その園では、レイトブルーがたまたま偶然に割合が多くなってしまったのだと思うが、かなり多数が混植されていた。

 今年は梅雨中旬に雨が多くて、それが一段落してからオレは来たので、主力である中生品種は完熟を過ぎて腐り出したものが多かった。
でも、レイトブルーという最晩生品種なら、まだ未熟なものが多くて、これなら腐りは無い。
そこでオレは、レイトブルーの熟し初めの大粒だけを狙って、集中的に収穫した。

 レイトブルーは、果実が密集して房のようになり、しかも果粉が多くて白っぽく見える。
その特徴をつかんで、広い園内からオレはレイトブルーの樹だけを見つけだして、狙い打ちして収穫した。
フフフッ。
収穫した果実は、すこぶる綺麗な果実だ。

 見た目は美しいのだが、レイトブルーは、味がな、とても酸っぱいんだ!。
摘みながら、どんどん食べる、ということができない。
酸っぱくてなー。
だから園の人が言うには、観光摘み取り客からも「酸っぱい!」と言われてしまうそうだ。

 酸っぱいのは、オレとしても承知のうえだぁ!。
じゃんじゃん摘む。
ジャムにするならさ、砂糖を加えて煮るから、酸っぱくてもかまわん!。
それにオレは冷凍で長期保存するつもりだから、このレイトブルーをせっせと収穫した。

 レイトブルーで、冷凍ブルーってか。
いつのまにかダジャレになってら!。
レイトブルーは晩生といっても、それはハイブッシュの中では最後の頃であっても、その後になってからラビットアイの早生品種の収穫が始まる。
だから、レイトブルーが最後というわけじゃあ、ない。

 冷蔵庫の電気代節約のためには、本当はラビットアイの晩生品種を冷凍するのがいいんだが・・・。
オレは当初そう考えていて、実際そのつもりだったんだが・・・、予想外なことに、ラビットアイは北関東や高原では完熟しづらいというか、品質が冴えないことが多くてね。
加工するにしても、電子レンジで加熱しても、皮が厚すぎてうまく溶けず、ゴワゴワする。

 という、ラビットアイ自体の欠点があるんだ。
だから、冷凍で保存用のブルーベリーは、ラビットアイでなく、ハイブッシュがイイ、とオレは考えているのさ。
という背景があって、福島県三春町の園でオレは、ハイブッシュのレイトブルーをせっせと摘んだわけだ。

 あと、那須高原でハイブッシュの晩生品種を数多く植える計画のオレとしては、比較参考のために、三春町のブルーベリー園を見に来た、という意味もある。
まったく、マジメで勉強家なオレだな(?)。
酷暑が始まった関東平野をあとにして、三春町でレイトブルーをたくさん摘みまくって、満足したオレであった。

 持ち帰ったブルーベリーは、すぐには冷凍せずに、2週間ぐらい冷蔵庫に入れておいた。
そのあとで冷凍にしようと思ってね。
が、日が経つにつれて段々酸味が弱くなって、予想以上に美味しくなって、日々、牛乳と一緒に食べていたら、冬まで持たずに完食してしまった。

那須高原のブルーベリー収穫は苦戦のまま
 三春町からの帰路は、オレは那須高原に寄っていって、自分の園の手入れをした。
そしたら、ちょうどカロラインブルーの今年の初収穫ではないか!。
でけえ果実発見!。
スパルタンなみじゃん!、と大きさに驚いても、それは最初のころの数果だけ。

 というか、すぐ食べたら、あんまりうまくない。
酸っぱいとは違う。
ガサツというか、渋味があるというか、ようするにややマズイのだ。
完熟ではないからだろう。

 レイトブルーを改良した子品種がカロラインブルーであって、ウチではカロラインブルーを主力にしようと野心的な計画を立てていたのだが・・・、まず、味が酸っぱ過ぎるし、シブ味もある。
三春町のレイトブルーに渋味は無かったのに、土壌や品種の違いだろうか。
阿武隈山地と那須高原では、距離が近いわりには、那須高原の土質は2段ぐらい劣る印象がする。

 カロラインブルーの渋味が抜ける完熟を待っていると、今度は、果実の付け根から果肉が痛んでくる。
大果もあるが、中小粒が多すぎる。
接ぎ木であってもだ。
カロラインブルーは花芽の形成も悪く、成らぬ木は全く成らない。

 接ぎ木しても、カロラインブルーという品種は、活着率が良い方では無いうえに、伸びた枝はその後には、生育が止まってしまいがち。
接ぎ木がうまくいっても、真夏には成長が止まってしまう。
でも!、カロラインブルーと一緒に接ぎ木した『サミット』は同じ晩生品種だというのに、接ぎ木は成功しやすいうえに、サミットは真夏でもダラダラダラと伸び続ける、という二次成長をする。

 受粉のためにカロラインブルーとサミットを同時に一緒に植えたんだが、カロラインブルーはサミットよりもだいぶ見劣りがする。
というか、サミットの優秀さが目立つ。
残念ながら、カロラインブルーを那須高原のウチの園で栽培すると、発育不調、品質不良がひどいのが現実で、土質や気候に合っていないようだ。

決定打か?、T172台木のサミット
 ウチの園で熟し始めた『サミット』の果実もオレは食べてみた。
これは酸っぱい。
毎年酸っぱい。
レイトブルーみたいに酸っぱい。

 でも、サミットはスッキリした軽い酸味なので、渋味もないことだし・・・、美味しいといえる範囲になんとか入る。
が、生食用としてはやはり酸っぱすぎる。
まあ、冷凍して長期保管に向く方だろう、サミットは。
サミットの収穫初期は、大粒のものが採れやすいので、大粒は収穫スピードが断然早いのも長所だ。

 そもそも那須高原では土質不良だと思うが、オレの農園ではブルーベリーの発育不調が多い。
調子が悪いのはカロラインブルーだけじゃない。
他にもエリオット、ジャージ、ダロウ、ハンナチョイス、バーリントン、など、他のハイブッシュ品種であっても、接ぎ木後の成長不良を示す品種が続出するありさま!。
スパルタンも、接ぎ木してあっても初期生育は悪い方だな。

 どんなハイブッシュ品種でも、接ぎ木すれば大丈夫だろう、って、ラビットアイへ接ぎ木さえすれば、あとはよく成長するとオレは思ってたのさ。
でも違う。
その後がまさかの成長鈍化。
その成長不振は、オレの管理不足のせいだと思ってた。

 どれも発育不振ならオレのせいだと判断できるが、そうじゃなくて、発育が良いものもある。
これは管理の差ではなくて、品種による違い、品種差だ。
那須高原であっても、これはイケル!、という抜きん出た生育を示すブルーベリー品種が、2つあることに気付いた。

それは、台木としてT172であり、穂木としてサミット、という組み合わせだ。

 サミットは、接ぎ木の活着率も良いうえに、一年目から枝は長く伸びていくし、夏もダラダラと伸びて、しかも果実はよく成る。
欠点はただ酸っぱいだけだ。
改めて述べてみよう。
那須高原(のオレの園)で、よく育つ品種は、限られる。

 台木は、T172、フェスティバルともいう。
穂木は、サミット。
この2品種ならよく育つ。
なお、管理が行き届くならという条件付きならば、台木はブライトウェルだの穂木はアーレンとか、準じる候補品種はいくつかあるが、それら次点品種の中からスパルタンはちょっと詳しく述べてみよう。

那須高原でスパルタンはどうか?
 反面というか、比較としてスパルタンを引き合いに出すとだな。
スパルタンは接ぎ木の活着率が悪く、その後の育ちも初期生育は悪く、真夏の時は生育が止まってしまいがち。
味はいいが。
遠距離の粗放栽培、という立地条件にはやや困難なので、主力というよりは補助的品種だ。

 さらに比較として、カロラインブルーも引き合いに出してみよう。
カロラインブルーは、接ぎ木の活着率が良くも悪くもなく、初期生育もイマイチで、夏には生育が止まったりで、結実率も悪い。
果実品質も、やや不十分。
といったところだ。

 オレは那須高原へ遠距離園芸しているから、それゆえに管理が行き届かない事情もあるから、育つ品種が限られてしまう。
自分の庭で管理良く、細かに面倒を見ていられるのならば、もっと育てられる品種数は増えるだろう。

 2015年の今年の観察からいうと、梅雨明け後を狙った、晩生品種をメインにしたブルーベリーは、一部の品種を除いては壊滅的といったところだな・・・。
一部の品種は抜群に伸びていたから、それはT172台木のサミットで、これは順調に伸びていたから、これならイケることはわかった。
が、なにしろ味が酸っぱい。

 つまみ食いしながら収穫する楽しみが、酸っぱすぎてあまり楽しくない、とあっては、オレはあんまり気乗りしなんだけどな。
じゃあ、スパルタンはどうか?。
梅雨明け後は、暑くて暑くてサミットの収穫もつらいが、早生であるスパルタンの収穫時期ならまだ涼しいし。
それにスパルタンは、なんといっても味が美味しい。

 ここで急な話になるが、那須高原のブルーベリー栽培を全面撤退してみるか?、という検討案については、その案はあることにはある。
じゃあ、実際に那須から撤退して、水戸の方でブルーベリーを栽培する、ならどうなるのか?。
まあ、オレが植えるとすれば、品種はスパルタンを栽培することになろう。

 スパルタンは(多くの場合は)接ぎ木でしか育てられない。
だから、ラビットアイの台木が必要だ。
でもあいにく、オレが住んでいる水戸の方(正確には水戸市の隣町)では、ラビットアイの台木がない。
鉢植えの台木よりも、露地植えされてある程度育ったラビットアイに接ぐと成功率も成長度も良い。
が、その台木の手持ちがない。

 いや、オレ所有の台木は、あるにはあるんだ・・・。
しかも100本以上。
オレの所有物で、ラビットアイの適切な台木がある。
その台木は、『那須高原にたくさんある』!。
というわけでぇー、話が、ふりだしに戻ってしまうじゃん!。

 スパルタンが雨で濡れた収穫になっても、車のクーラーをあてて除湿しながら帰宅してみるか?。
早生品種は、何も実ってないところに、いきなり熟し始めるから、スズメがまだ覚えておらず、鳥害が少ないし。
冷凍果実の保存は、8月ごろの晩生品種でいいと思ったが、それが品質的にふるわないなら、6月から冬期用に溜め込んでみるか?!。
模索はつづく。

サミットは酸っぱ過ぎで、スパルタンは接ぎ木が難なら、一緒に接ぎ木でどう?
 スパルタンを栽培するにあたって欠点なのは、第一に接ぎ木活着が悪くて、10本接いでも半分以下の4本くらいしか付かない、ことだ。
サミットなら半分以上つくのに。
同じオレがやってもだ。

 それに、スパルタンは、接ぎ木してつながっても、その後の成長が悪いことが多い。
接いだその年からグングン伸びればいいんだが、伸びに勢いが付くまでに2年ぐらいも要することが多いし、途中で、発育不振を起こしたり、ポッキリ折れるものが大変多い!。
現に今年の那須高原のオレの園では、スパルタンを10本接ぎ木して、4本しか活着しなかったうえに、その後の成長では、内2本が発育不振気味に陥ってしまった。

 代わりにサミットならば、これなら接ぎ木はよく活着するし(6割以上いく)、初年度からよく伸びて盛夏もダラダラと伸び続けて分岐して茂って、2年目には初収穫できそう、とあっては、これはもう品種間の違いというしかない。
じゃあ、どうする?。
もーぅ、台木一株につき、オレは一株一本の接ぎ木をすることにしていたが、一株につき二本(サミットとスパルタンを1本ずつ)で、接ぎ木してみるか!。

 スパルタンが育てばそれでヨシ!。
スパルタンが育たなかったら、サミットで育てる。
両方育たなかったら、台木の芽を育てる。
スパルタンとサミットの両方が育ったら、しばらく育てて発育が良い方を残して、片方は切る。
という、間引き前提の作戦でやってみるとするか?。


【あとで写真を入れる】1本の台木に2本接いだもの


 サミットは接ぎ木しやすいが酸っぱく、スパルタンは美味しいが接ぎ木しにくい、という相反する性質をもった2品種だ。
これでは、片方だけに統一することがしづらい。
併用作戦で行くしかあるまい。
なお、こまごまとした他の条件もある。

 受粉問題だ。
サミットは受粉に関して、(予想外なことに)1品種だけでも良く成る。
が、スパルタンの結実には、外部からの花粉が必要だ。

 スパルタンの果実を成らせるための、受粉用の早咲きの早生品種は、那須の農園では植えてない。
那須高原は5月になっても遅霜が多い地域なので、早咲きの品種は植えたくない。
が・・・、サミットは晩生品種のわりには、開花時期がさほど遅くない。

 スパルタンは早生品種のわりには遅咲きであって、サミットは晩生品種のわりには大関ナーセリーのカタログによると開花が早咲きなので、開花期は部分的には重なりそう。
つまり、サミットとスパルタンの2品種を植えると、受粉問題は解決できそうだ多分。
どちらか一方の品種だけを植える、というのは受粉の都合で望ましくない。
受粉が後期に重なるということは、良い方に解釈すると、関東地方ではもっとも遅い時期まで(7月中旬)、スパルタンを収穫できるようになるだろう。

 スパルタンなら、摘み取りしながら食べても美味しいし、オレとしても張り合いがあっていいな。
スパルタンの接ぎ木用の穂木なら、オレはスパルタンの穂木を冬期に販売しているので、切り揃えるときに余った枝片とか、販売まではいかないB級品の穂木なら大量に有り余っているから、オレはそれを接ぎ木に使えば済む。
サミットの穂木は、じつは足りない。

 ということを今年2015年、試行錯誤の末に、オレなりの模索の結論を出した。
今までも見込み違いの連続だったから、今後も変更はよくあるだろう。
ともあれ、以上だっ。

終わり
2015年8月31日 記
作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
▲目次へ戻る