いよいよシンポジウム2日目の始まりー
 いよいよシンポジウム2日目の始まりー。
バスは信濃町にあるブルーベリー農園に向かった。
それにしても、雪をかぶった山が見えて景色がええのう。
さて、行き先は古くからあるブルーベリー農園で、果樹の専門書には詳細がすでに掲載されているほど。

写真
黒姫高原だけど、この山は妙高山。黒姫山は写真には写ってないが左側にある。
2013年5月31日 撮影

 書籍にはこう載っている。
「信濃町に植えられたブルーベリーは、どの園地も比較的良好な生育を示しており」
「樹勢が強いことから、土壌などの条件が栽培に適している」
「米国の研究者らから、このように健全に育ったハイブッシュブルーベリーは見た事がないというコメントをいただいているほど」
というベタ誉めぶり!。
土質がすごく合っているらしい。
ハイブッシュブルーベリーに向いている最高の土質であるらしい。

 ハイブッシュブルーベリーって、強酸性の土を好むという変わった特徴があって、しかも、通気性が良い土で、水分も適度に含んでいること、そして気象条件は涼しいこと、などいちいち面倒な条件が多くってさ。
それゆえに日本国内では、そのまま植えて育つ適地は限られている。
ピートモス入れるとか土壌改良すれば育つが・・・。

 でもここ信濃町に限っては、ハイブッシュブルーベリーにひときわ向いた最適土質らしく、そのまま植えても良く育つらしい。
すぐ近くの火山から噴出した灰(黒土)が、たまたまブルーベリーと相性が特に良かったらしい。
そういう情報をあらかじめ書籍で得ていたから、そんな模範的な土質であるなら、ぜひ見てみたいぞ。



 到着!。
着いた園内は、緩い斜面だ。
大勢の見学者の前で、スピーカーで解説が始まった。
ブルーベリーは花が真っ盛り。(2013 6/1)
植えてある品種は、ブルーレイとスパルタン、ジャージ、デキシーなど。

 古い品種が多いそうだが、とりわけ、スパルタンがイチ押しのようだっだ。
大粒で味が良く、人気が高いようだ。
スパルタンだったら、オレも植えてある。
その経験を生かして、ここ信濃町のスパルタンをよーく見てみようじゃないか。

 ここ園内でスパルタンがどこに植えてあるのかというと、ここの列だというが、移植などで配置がバラバラになってしまっているので、どの品種がどこに植えてあるのか、わからなくなったという。
でもスパルタンなら、オレ、葉っぱや花の形や色で見分けできるぞ。
なにしろ今は開花期だ。

 スパルタンの花って、ブルーベリーの中ではかなり独特な方で、柿の花のようだ。
柿の花って知らない人のために代わりに言えば、ちょうちんブルマのような形、じゃ余計にわからなくなってしまうかもしれないが、スパルタンの花は縦長ではなく、横長であって、しかも普通は白い花であるところがスパルタンは黄ばんだ花、という珍しい特徴がある。

 あと、新緑の葉っぱも緑色というよりは、黄色の色素がかなり混じっていて、良く言えば葉っぱがゴールド色っぽくなっている。
新緑のうちだけな。
というわけで、オレは広い園内で、スパルタンの樹は、この列は端から中途のここまで、および飛び飛びに単発で植えられているスパルタンがあれとこれ、と見つけ出しては、そこに行ってはいちいち育ち具合をチェックした。

 ここは接ぎ木ではない。
自根栽培だ。
スパルタンの伸びはいかに?。
よくよく観察を続けると、う〜ん、そんなに強勢に伸びているわけじゃないな。

 スパルタンって、発育が不振気味になると、花が小さくなる、という珍しい現象を示す。
柿の花みたいな提灯ブルマが、小振りの花になってしまうんだぜ。
自根とか、接ぎ木樹でも移植して根を切断した年とかは、花芽から育って咲いた花が、なぜか一回り小さくなってしまう。
接ぎ木樹で発育が旺盛だと、スパルタンの花はむしろ大きい方だ。

 その経験をオレは持っていたから、その視点でこの園地のスパルタンを見ると、小さい花は少なかった。
枝の伸びは旺盛というほどでもないが、花の大きさを見ると発育不振というほどでもない。
よって、総合評価は中の上ぐらい、というのがオレの判断だった。
書籍で見た「このように健全に育ったハイブッシュブルーベリーは見た事がない」という表現は、米国の研究者の誉め過ぎの言葉だろう。

 スパルタンの自根栽培は衰弱しやすいことを思えば、これだけ伸びていればむしろ良い方だし、今回の見学のためのモデル園としては充分だろう。
オレは言葉には出さなかったが、実在の樹を前にして、そう思った。



 そういうことを思っていると、するとだ!、オレの前にたまたま居た参加者が「これじゃ樹がかわいそうだね」と言った。
オレは驚いた。
というのは、モデル樹として見学用には、この育ちで充分間に合うはずだから、かわいそう=成長が良くない、という指摘は、通常の参加者ならまずありえない反応だからだ。
つまり、その人が言いたいことは、スパルタンはもっと良く伸びるのにこれじゃ成長が不十分だ、ということを指摘しているのだ。

 そう言うということは、かなりのベテランのようだ。
果たしてその人は、ブルーベリー普及センターの職員であって、かつて以前、シンポジウムを開催したところもある産地からの参加であった。
当時は産地としてかなり大々的に取り上げられていたが、転作田に植えられていたため過湿によって多くの樹が枯れてしまっていたということを、オレは情報として知っていた。

 その情報を言ったら黙って名刺をくれたので、まさにその産地のブルーベリー普及センターの職員だということがわかったんだが、排水設備をやったり木材チップを分厚く敷き詰めるということが当時、情報として盛んに出されていたが、年月が過ぎてわかったこととして、結局としては解決にならなかった、ということを暗に示している。
転作田ではな。

 解決策を挙げるならば、やはりラビットアイ台への接ぎ木であって、そこの産地でも、今年の接ぎ木(活着率)は大部分が成功したといっていた。
オレは今年、ラビットアイへの接ぎ木は、過半数近くも失敗してしまったんだけどなあ。
スパルタンって接ぎ木が難しい方だし。

 スパルタンは接ぎ木が難しい、というオレの話に、目の前にいる相手は賛同してくれなかったので、オレの接ぎ木の仕方に問題があるのかもしれない。
接ぎ木の作業って、手間や時間がかかるし、かなーり疲れるけどな。

 というわけで解決案として、スパルタンよりも、カロラインブルーの方が向いているんじゃないか、というのが、オレの意見としてある。
梅雨真っ最中の7月に熟すスパルタンよりも、カロラインブルーなら梅雨が明けてからでちょうどいいし、味もスパルタンに次いで良いみたいだし、接ぎ木の活着率もスパルタンよりもいい。
とオレが、(やや寒冷地ならスパルタンよりも)カロラインの方がいいのではないかと言うと、その職員さんはカロラインブルーのことを全然知らない様子だった。

 現にこのあと、2カ所の園地を見学することになるのだが、カロラインだけでなく、レイトブルーとかエリオットなど最晩生品種は植えられていなかった。
ここ長野の産地は、ブルーベリー収穫は7月から始まって8月上旬までで大体終わってしまう。
8月上旬で終わらせちゃっていいのか?。
それだと、お盆の休暇中に収穫できない。
田舎への帰省ラッシュのピークは、8月13、14、15日の8月中旬じゃないのか?。



 8月のブルーベリーといえば一般にはラビットアイブルーベリーだけど、長野ではラビットアイブルーベリーはほとんど植えられていないという。
ラビットアイは寒害で不向きだからだ。
といっても、枝先が寒波で凍死して果実が成りにくいだけで、地中の台木としてなら越冬は充分可能なんだけどな。

 そもそもラビットアイの苗木自体が、長野県内ではあまり売られていないらしかった。
とまあ、なんだかんだと検討すべき事柄はいろいろあったんだが、観光バスは次の見学農園へと向かったのだった。
つづく

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