2013ブルーベリーin信州・信濃町シンポジウムに参加してきた
 ブルーベリーのシンポジウムが今年は長野県でやるというので、北関東自動車道が開通したこともあって、クルマで行くことにした。
茨城県から行き易くなったし、しばらくぶりに長野県に行ってみたい。
高速道路の深夜割引を受けるため、朝3時に出発して片道6時間、野尻湖に近い黒姫高原の会場に到着した!。

写真
雪をかぶった山が見えてきた。信濃IC近くにて。
2013年5月31日 撮影

 山に冴える残雪が綺麗だ。
今年は梅雨入りが早くて、雨が降るだろうとオレは思っていたのに、結果的には会期の2日間とも快晴になってしまうんだから、天の気分にはかなわない。
さて、会場には早めについたが、さっそく掲示パネルを見て回る。

 ここで、灰色カビ病の写真を初めてみた。
この病気には、たいへん見覚えがあった。
ブルーベリーの花や若い果実がな、紫色に発色して、駄目になるという病気がある。
紫色だよ、紫!。
ちょっと異様に目立つ色だ。

 自然界では目立つ色だけに気になっていたのだが、これがウチはかなり酷い症状がでる木々があって
困っているのだが、病名が判明した。
灰色カビ病か、紫色なのに灰色か。
20℃ごろで湿気が多いときに発生しやすいという。

 やや寒くて、多湿のときにかかりやすい病気のようだ。
ちょうど今ごろだ。
今、那須高原のオレの園でその病気、多めに出てた。
とりあえず病名がわかれば、今後対策もできよう。



 さてさて、ブルーベリーのシンポジウムが始まった。
開会の挨拶の話などはオレにとってはどうでもいいが、一種の儀礼の手続きであろうから黙って聞いたら、
予想外に早めに挨拶は終わった。
続いて今年は、外国からブルーベリーの専門家が来て、通訳付きで講演するという。

 その人だが、グラビアモデルか?と連想してしまうような長身の美人であった。
イタリアから、だという。
プレゼンテーションが上手な親善大使みたいな人だろうと思ったら、れっきとした博士(はかせ)であった。
イタリアのイチゴ、ブルーベリー、サクランボ、ベビーキウイ、カランツ、グースベリーなど、各種のベリーを扱う共同組合から、今回日本に来てもらったらしい。

 プレゼンテーションのスタートは、各種ミックスベリーの魅力をうたい上げる話で、魅力と素敵さを語るのはいいのだが、オレは果樹園芸でいろんなベリーを栽培して、そうは簡単には良い結果にならないことを我が身で実感してきたから、魅力話はさらっと聞き流す。
もう完全にスレッからしになっているオレ。

 品種改良や品質保持、品質の統一性の大事さなどを写真付きで解説が続いていくが、ま、前半はどうでもよかった。
朝3時に出発してきたオレは、もう眠くてたまらないのだ。
その女性のサラ博士は、配られた資料の文章に沿って、イタリア語で、じゃなくて英語で言っていくので、なんとかオレにもわかる英単語を発音していることがボンヤリわかるのだが、通訳が日本語で言わなきゃ、わからんわ、やっぱり。
サラ博士は資料どうりに読み上げるのではなく、時々アレンジして冗談も言っているようだ。

 お茶目のようで、博士が笑いだして通訳も笑うのだが、通訳と2人で笑いあってる。
オレには全然わからず、ポカーン。
大勢の聴衆もまたシ〜ンとしてるので、むしろこんな光景の方が面白いくらいだ。

 サラ博士の講演の後半に、ラズベリーの新品種の紹介がでた。
このラズベリーの果実がでかい!。
市販の赤いイチゴと同じくらいの大きさで、イチゴのM=ミディアムサイズと同じくらいに、大きな果実のラズベリーであって、それがイタリアで生産されていた。

 品種はエビタ、とかサンゴールドとか、エリカなどなど述べてくれたが、日本国内では見かけない超最新品種だ。
オレが3年ほど前に植えたヒンボートップという品種は、日本国内では最新品種になるが、それすらもかすむような超最新品種がイタリアの生産現場で大掛かりに植えられて、果実の大量生産が稼動しているスライド光景だった。

 それと同じものを植えたいと思っても、契約などの都合で3年ぐらいは試験栽培してからでないと認められない、とか言ってて、つまり日本ですぐ栽培するのは不可能だった。
ま、今は無理でも、いずれ栽培できるようになるだろう。

 ビニールの雨除け栽培することや、冷蔵すること、収穫光景などのスライドが続いたが、これらは一見さしてそんなに大事とも思えない情報だったが、のちに博士の実力を知ることになる。



 質疑応答が始まった。
質問は配られた資料を読み上げるのではなく、問い合わせの内容は想定外もあるだろうから、どう答えがくるか興味があった。

 質問として、冷蔵保管についてだが、冷蔵庫で冷やしたあと輸送トラックに載せるのだが、その温度は何度か?という。
これはかなり高度な質問だった。
というのは、収穫したベリーが痛まないように早め早めに低温にして、それもかなり低い温度にして鮮度を保持するのだが、冷やせば良いとか、凍らない程度にできるだけ低温に、とか、そんな一般的な話のことだったら、もうすでに知っている。

 でも質問者の意図というのは、輸送トラックでは冷蔵車を使っていても、庫内はそんなに冷えていないから、そのことを指摘しているのだ。
オレには心あたりがあった。
オレはバイトで医薬品の配送をやっていたことがあって、医薬品によっては冷蔵保存の薬というものが一部にあって、それはクーラーボックスに入れて運ぶことになっている。

 クーラーボックス内は、凍らせた氷などを保冷剤として詰め込んであるから5℃以下のはずだけど、薬局や病院を回って、ボックスを開け閉めしている回数が多いから、暑い空気がボックス内に入ってしまって、氷が最後のころはけっこう溶けている。
製品の出し入れが頻繁に行われるに状態では、庫内温度が5℃以下が維持できてるとは思えん。
宅配便のクール便だって同じことだろうさ。

 サラ博士の返答は、8℃ということだった。
輸送車の中では、そのくらいだろうね。
オレは返答内容に満足した。
8℃では冷蔵品質とか、結露(通訳は、汗をかく、と言ってた)の問題があるが、それ以上の解決策はオレはここでは求めない。
それはなかなか解決できない問題だからだ。

 質問者の質問として、製品を冷やしたあとにフタをかぶせるとあるが、そのフタに通気用の(小さな)穴は開いているのか?という質問もあった。
これまた高度な質問だ。
ブルーベリーは透明なプラスチック容器に入れて集荷することが多いが、冷蔵出荷したあと、ブルーベリーは、届いた向こうでは暖かい空気に触れることもある。
初夏ごろで暑い時期だしな。

 そのため、暖かい空気が触れると、ブルーベリー果実は冷えているので、果実表面に水分が付着して(結露)、果実がびしょびしょに結露してしまう、という深刻な問題があるからだ。
果実が痛んで、ぐにゃぐにゃになったりして、やばい。
オレもこの問題には困りはてていてさ。
ブルーベリーの通販の大きな問題点の一つになっている。

 空気中の水蒸気が、冷やされて水滴になるわけであるから、乾燥した空気のままで密閉させとけば、結露しないかも、という可能性もある。
でも現実には、ブルーベリーの果実用の容器は、通気性をよくするために穴が開いていることが多いのだ。
わざと穴が開けられている。
通気性をよくするためにね。

 湿気を逃すためだが、逆に湿気が外部から入ってしまうかもしれない。
結露するのか、しないのか?。
イタリアでは、容器にフタをして冷蔵で低温にして発送しているという講演だったが、さて質問として、その容器のフタに穴は開いているのだろうか?。

 サラ博士の答えは、穴が開いている、ということだった。
イタリアでは日本よりも空気中の湿度が少ないだろうから、その影響で結露が少ないかもしれない。
いや、わからんぞ。
それ以上の解決策は、オレはここでは求めない。
これまた難しい問題だからだ。
イタリアの博士に、日本の気候風土の事情まで関連した答えを求めるのは酷であろう。

 そもそもブルーベリーの表面には白い果粉がついてブルーに見えるという事情があるのだが、結露するとブルーじゃなくて黒光りの色になってしまう。
だから結露対策は、他の果物よりもシビアだ。
巨峰ブドウの冷蔵品などにヒントはあるが、完全な解決策は正直まだよくわからない。



 ベリーといえば北欧が有名だが、イタリアでは気候風土の果樹が北欧ほど限られるわけでもないから、つまりベリーの伝統はそれほどあるわけでもなく、日本と同じくらいのなじみのようだった。
せいぜいジャムくらいで、加工の割合も高くなくて、サラ博士が勤務?している生産組合でも、ベリーは生食用が大部分ということだった。

 日本でいう6次産業とかとは違って、つまり予想外なくらいに、イタリアのベリー生産と日本のブルーベリー生産は似通っていたのだった。

 サラ博士は、雨除け栽培の利点について、やや長めの説明があった。
ビニルハウスでベリーを作るという。
イチゴのような温室じゃなくて、単なる雨水防止だけの天井だけビニルを張った施設だが、それを使うと、品質は良くなるし、収量や糖度もでる、病気も減る、雨天でも雇用労働ができるから生産性もあがる、と、博士らしく根拠と実績を提示しながら解説していった。

 ビニルに、気温を下げる効果のあるものも使っているようだった。
シャドウ フィルムという一種の遮光性のあるビニルのことで、植物には影響をあまり与えずに、真夏などは、いくらか涼しくなる。

 それらはオレは軽く聞き流していたのだが、長野の現地生産者からの質問は、苦労を重ねてきたのだろうか、キツイのが出た。
ブルーベリーの単価が安い、という。
キログラム800円じゃ、割りにあわないという。
オレはそれを聞いて、確かにそれは安すぎる、と思った。

 雨も多くて、果実が痛んだり、病気が出たり、害虫がでたり、その害虫とはオウトウショウジョウバエのことを指す。
果実にウジが入るという防除困難な害虫だ。
長野は7月が生産のメインなのに、平野部や暖地でブルーベリーが広く出回って単価が下がったころに長野で収穫期が始まるから、もう値段も安い。

 これらの実際の体験をふまえた質問だった。
質問というより、どうすればいいのか、という意味だったようにも思うが、そのやりとりをオレが聞く限りでは、通訳者がどう伝えるのか難しいだろうと思った。

 通訳といっても、園芸専門の知識が必要だからで、例として、アーリーシーズンというのを直訳すれば、早い季節、早い時期、だろうけど、園芸で言うなら早生(わせ)になる。
通訳者、ちゃんと伝えられるだろうか?。
サラ博士、長々と答えた。
雨除け栽培をすれば、病気だって減るし、害虫の被害だって少なくできる、と。
通訳者、省略せずに長めの返答で日本語で答えた。

 肝心のオレがその長い内容を覚えていないけどさ。
結露の問題だって、雨除けされて果実が濡れていない状態で収穫すれば、比較的には結露しにくいという事情もあるしな。
イタリアでは降雨量は少ないだろうけど、それでも雨除けして、その効果を発揮していることから、日本でも効果があるだろうことが伺えた。
日本じゃ、ブルーベリーの雨除け栽培はあんまりやらない。

 コスト高ということもあるが、ビニルで覆われているからカラスや獣の食害も防げるし、品質保持=値段を下がらずに済む、という利点もある。
このあたりの答弁は、博士としての力量が凄かったな。
通訳者もずいぶん超優秀だなと思ったら、雇った通訳の人ではなく、ブルーベリーでは有名な専門家であった。
英会話もできて、すげーな。



 このあとは、日本の生産者によるパネル解説があるのだが、なにしろ、くばられた資料にあらかじめ内容が大体書いてあるし、なんといっても、明日、現地の農園を見ながら解説を聞けば、その方がよっぽどわかりやすいのだ。

 というわけで、そこんとこは記述省略。

写真
湖は野尻湖
2013年6月1日 撮影

 夕刻、オレは宿泊するためのロッジというかペンションというか旅館というか、野尻湖のほとりの宿に向かった。
カヌーなどの利用客がよく使うところのようで、翌朝は朝日が湖に冴えて、美しい光景が見えた。
なんだか、超ステキじゃん!。

写真
黒姫高原なので黒姫山かと思ったら、妙高山だという
2013年6月1日 野尻湖畔で散歩したとき撮影

 いよいよ長野ブルーベリーシンポジウムは、2日目を迎えた。
2日目は、現地視察だ。
つづく
2013年6月7日 記

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