2012ブルーベリーin秋田with東北 に行く
 シンポジウムの研修というか、一種のお祭りであるブルーベリーシンポジウム秋田に参加することにしてみっか!。
えーと、どうやって行くか?。
あきた新幹線を調べたら、途中の停車駅が少なくて、水戸からいったん東京に行って、乗らねばならない。

 それだと遠回りだ。
本来なら、水戸→仙台へと列車に乗って、仙台にてあきた新幹線に乗り換えればいいが、福島県沿岸の常磐線が大津波で破壊されたままなので、そのルートは使用不可能。

 自家用車で行くにしても、今、オレは軽トラしか保有してなくてなあ。
普段つかっていた乗用車は、走行距離20万キロになって昨年に廃車にしていた。
レンタカーを何日も借りると高額だし、え〜〜っと、仕方ない、もう、軽トラで秋田県に行ってみるか!。



 茨城県と秋田県は、普段はあんまりつながりもないのだが…、戦国大名の佐竹氏が関ヶ原の合戦ののちに、秋田に場所替えになった、というのが思いついた。
何百年前だ、こりゃ?。
このくらい古い情報しか思いつかないや。

 遠距離だし、軽トラで高速道路を走り続けるのは、時速80キロの予定なので時間もかかるし、運転の疲労もあるので、途中で一泊することにした。
時間配分の都合上、たまたま岩手県の奥州市に泊まることにしたが、中尊寺が近くにあったので、寺社見物に寄って行こう!。

 これって、物見遊覧の観光旅行になってるが。
せっかく遠くから来たんだから、歴史遺産の中尊寺金色堂を見ても、ええじゃないか、ええじゃないか。
さて、金色堂に向かう参道の両脇には、杉並木があり、他のお堂がたくさん立ち並んでいた。

 参道は上り坂で疲れるので(皆、歩くのが早い!)、途中のお堂をじっくりと見物しつつ向かうが、参道の杉は太くて、ずいぶん古くからあったことを感じさせる。
金色堂以外の建物は、火災の被害などにより後世に再建されたものだそうだが、それらは予想よりも装飾は簡素だ。

写真
金色堂はこの建物の中にある 2012年6月28日撮影

 だが、金色堂だけは別格。
オレは初めて実物を見たが、金箔が大量に使われているだけでなく、南方から輸入した貝殻から真珠層を切り抜いて、緻密な模様に仕上げて、それが柱にびっしりと漆塗りで埋め込まれている。
クジャクの浮き彫りも見事な曲面を出して艶やかな仕上げだ。

 二天像これは金剛力士像のミニサイズ版みたいなもので、躍動感も上手い。
天井からは青い宝石(ラピスラズリ=瑠璃=るり)に穴が通されて、大量にぶら下がっている。
まさに金ピカの極楽浄土。
金色堂は、明らかに他のお堂と比べても突出しており、超一流レベルだ。
国宝だというのもうなづける。

写真が無いので、他サイトへのリンク  金色堂  金色堂その2

 それにしても、梅雨の季節の真っ最中だというのに、オレが来た日は、ぽっかりと快晴に恵まれた。
ラッキー!。
これって奥の細道にて、松尾芭蕉の俳句そのものだな。

五月雨を 降りのこしてや光堂
(意味:ものを朽ちさせる梅雨の長雨が、ここだけは避けて降り残して、金色堂が昔のまま輝いている。)

いよいよ秋田県へ向かう
 その夜は、民宿で前沢牛を食って(あとから思うと、特産物だった)、翌朝、岩手県から秋田県に向かった。
秋田に向かう高速道路は、これは片側一車線で、対面通行が多い。
車線は仕方ないとしても、70キロ制限のところを80キロで走ったが、明らかに皆、90キロ以上出して飛ばし過ぎっ。

 部分的にある追い越し車線で譲って先行させても、すぐに軽トラの後ろに、後続のクルマが追い上げてくる。
降雪期になれば、あっぶねーな。
かなり死亡事故が多い道路らしい。

 山脈を超えると秋田県側に入り、平野が一面に広がっていた。
その北のはずれに、ブルーベリーシンポジウムの会場がある。
そこへ向かう道のりを、のんびり走るが、かなりの降雪地らしく、道路際に赤白のポールが大量に立ってた。

 積雪期に、車道の際がわからなくなるから、そのときの目印だろうな。
屋根に瓦がなく、スレート葺きだったり、冬になれば雪国になるということを伺わせる光景が、かなりある。
眺めるオレとしては興味深い。

 途中でスーパーマーケットや道の駅に入って、地域の特産物をチェックする。
野菜の種類は、茨城とさほど大きな違いはなく、値段も同じくらい。
アスパラガス一束150円という安さが、出品者も多くて、これは明らかに地域の名産のようだ。

 菊の花もごっそり売られていて、食べる菊の方ね。
あと、今の季節といえばサクランボ!。
パックが山積みだ。
値段は、佐藤錦が1パック600円だ。

 山形産だけでなく、秋田産の佐藤錦もあるのだろうけど、秋田産の香夏錦(こうかにしき)というサクランボが、同サイズのパックで400円。
粒サイズ、味ともに、品質的に大きな差はあるようにはオレには感じないが、山形県産に対して3分の2の価格に留まっては、秋田の生産者にとってはキツイんでないかなー。

 農産物以外では、鮮魚コーナーで、トビウオが1匹100円で売られていたのが意外。
トビウオって南の海にいる魚じゃなかったか?、秋田沖にもいるんだ。
他、小鯛も1匹100円かそれ以下で、黒ずんだイカ(新鮮の証拠か?)など、茨城のスーパーとは、魚の種類にて違いをだいぶ感じた。

 広大な水田地帯にある店だし、魚貝類が多く売られていたから、てっきり、海に近い平野部かと思ったが、あとで知ったが、ここは横手盆地の中であった。
盆地とはいえ、かなり広大だ。

ようやくブルーベリー会場に着く
 お昼ごろ、ようやくブルーベリーの会場に到着。
知ってる人がいたが、今朝に新幹線に乗って昼前に着いたというから、オレみたいに昨日の早朝3時に起きて丸一日以上かけて来た場合とは、ずいぶんな大差がある。
ともあれ、開会式まで、もう時間がないから急ぐ。

 バタバタバタと、入場手続きと、昼食と、業者の出品展示場の閲覧を済ませて、急いで開会式に行ったら、2時間以上にわたるミュージカルが始まった。
それはブルーベリーシンポジウムのスケジュールの一環だが、ミュージカル内容はブルーベリーとは何の関係も無いから、面食らった。

 シンポジウムが開催されて10年以上たつので、今回は趣向を変えたのだろうけど…、まあ…、せっかくだから楽しまなきゃ損だから、観る。
今回のシンポジウムの会場を提供したところは、ブルーベリー園を経営しているが、劇団も古くからやっていて、多角経営しているので、その流れの関係で観劇してもらうことになったらしい。

 これらはあとで知ったことだが。
ともあれ、オレもその関係に巻き込まれたわけで、ミュージカルの内容について、ブルーベリーの話や園芸とは何も関係ないけれど、以下おつきあいくださいませ。


ミュージカル「アテルイ」を観る

 ドンドコ!ドンドコ!、大音量の和太鼓で始まった。
むかし、むかーし、日本の国の北のかなた、このあたりは、エミシと呼ばれておりました。
蝦夷(えみし)という言い方は、ヤマト朝廷からは異族視されていた表現ではありますが、本人たちは土地の草花を愛するのどかな人々でありました。

 金の産出も多く、そこへヤマトが征服のため、兵を送り込んできました。
村を焼き、人を殺すヤマトに対して、我らエミシは戦うのだと、ミュージカルは続きます。
そのリーダーにと選ばれたのが、あまり気乗りしないアテルイという若い男。
そのような能力はない、器でもない、とアテルイは嫌がり、悩みます。

 奇声を挙げる巫女のお告げとやらで結局リーダーをやらされ、ヤマト朝廷からきた田村麻呂との戦いが始まります。
戦いは地の利でエミシが善戦しており、ヤマトは大軍だというのに苦戦です。
ミュージカルは、それを表現して、 EXILE(エグザイル)のような激しい踊りが続きます。
それにしても踊りの動きが、ハード過ぎ。
盆踊りなんて比ではありません。

 田村麻呂は、アテルイ側が「降伏」という形だけでもとるようにさせて、戦いを終わらせようとします。
アテルイの仲間たちは自分たちは勝っているのに降伏ってあるか!と激怒。
交渉は決裂し、ヤマト側の朝廷は、エミシを「殺せ殺せ」の大合唱となり、毎年のように軍勢を送り込んできて、戦いは10年以上の泥沼になります。
アテルイは苦悩します。

 征夷大将軍・田村麻呂は、苦戦のためもあり、またアテルイとは昔、知り合いだった!?こともあり、友情もあり、征服戦争には気乗りせず、今度は一転して、意外や意外、朝廷?の娘とアテルイの婚儀の話も始まります。
アテルイまた苦悩。
今度は恋の悩みです。

 ラブな話となり、和服を着た女性が舞台で、歌います。
どうやら、婚儀は一応決まったようで、いくさも終わることになったようですが、アテルイが京都に向かう様子は、オリに入れられて降伏の形になっておりました。

 宿敵であるはずの将軍・田村麻呂は、京都の天皇?に対して、土下座してアテルイの助命をお願いします。
必死で頼みます。
ですが、アテルイは処刑されることになってしまいます。
田村麻呂は、こっそりとアテルイを逃がしますが、アテルイは自らあえてオリの中に戻ってしまい、ここで観客たちの笑いをとりました。

 果たしてアテルイは残酷なやり方で処刑され、婚儀のときの女性と幼児(アテルイの子供)があとで舞台に登場してきて、ミュージカルは終わりとなりました。



 というストーリーだった。
アテルイの戦いの場は、昨日寄ってきた平泉のあたりだという。
ここは秋田の劇場だが、岩手の「きたかみ」のあたりの出来事が題材であった。
中尊寺を見てきたばかりだったので、我ながら、なんという偶然!。

 それにしても、劇団四季の「ライオンキング」や、ディズニーアニメの「美女と野獣」といったミュージカルをオレは見てたので、それと比べるとだいぶ物足りない感じだ。
衣装は白装束が多すぎるし、ヤマトに対する憎しみ表現もキツめだしな。
つーか、脚本の内容の盛り上げ感が弱いので、台本を書き直す必要がある感じだ。

 それにしても、中央から来る軍勢に対しての、抵抗、独立心、というものが非常に濃い表現があった。
しかし、ブルーベリーシンポジウムでそのあとの発表会があったが、その中で、長年、栽培の指導をしていただいた先生に対して、感謝の言葉の連続がつづき、指導をよろしくお願いしたい、御指導のもとにと、そういう過剰なくらいの表現がかなりあって。

 その対極的なギャップ(大きなずれ)がすごい。
ひょっとして歴史的な影響なんじゃねえかなあ。
オレはべつに観光パンフを書いているつもりじゃないから、言いたいこと書いちまうがな!。

参考 寺の創建時に朝廷に出された落慶供養願文



 とまあ、オレがずけずけ表現したところで、ようやくブルーベリーシンポジウムの発表会になった。
お昼に開会式で、本日は夕方には終わるのに、もう午後3時過ぎてるぞ。
いつものプロジェクターなどの映像表示はせず、読み上げの発表だ。

 読むだけなら、配られた資料に、そのまんま書いてあるがな。
でも、アドリブの発表をする発表者もいるので、資料に書いてあるどうりではない。
昨年の震災については、福島の放射能風評被害とか…、さすがに聞いてツラく、直視しずらい話題もでた。
とはいえ、なにぶん発表時間も、冊子のページ数も少ないので、シンポジウムとはいえ、あまり深入りした話題じゃあ、ない。

 収支計算とか、ベテランになってからのノウハウとか、栽培マル秘テクニックなどまでは至らないので、まあ…、それについては、言葉で言わなくても、現場見ればわかるこったな。
皆、同じブルーベリーを栽培しているんだし。
明日は、産地見学会だ!。



 その夜は、オレは宿の予約がとれず、というか、当日、温泉街で看板見て探せばいいやと思ったが、もう夕方になってしまい、野宿する覚悟となった。
たがシンポの最中に、席のとなりの人と話すうちに、同室でいいなら泊まれば?、というので、オレは同じ宿に泊まることになった。

 はや夕方6時だというのに、行き当たりばったりしすぎ!。
夜にブルーベリーについてあれこれしゃべり、あとで、その人のブルーベリー園に伺うことになったが、いびきが大きいとかで(オレじゃなくて)、結局別室になったが。

 翌朝はオレは早く出発して、近くの田沢湖の見物に向かった。
本日の産地見学会は、朝の集合時間が早めなので、宿の朝食を食べていると間に合わなくなる恐れがあった。
田沢湖も見たかったしな。

 田沢湖って、山深い高地にある印象はあるが、標高は200メートルほどで、意外と低い位置にある。
コバルトブルーの水色で、これがちょっと不気味なくらいの青さだけど、湖面を眺めながら、コンビニで買った朝食を食べた。
うーん、ナイスもーにんぐ!(でたらめ英語)。

いざ、ブルーベリー産地見学会
 いざ、産地見学会が始まった。
観光バスに便乗して、一団は向かう。
バスごとに見学会場の順番は違うが(一度に全部のバスが行くと、受け入れ側が大変!)、オレのバスは最初の行き先が、エコニコ農園だ。

 ミュージカルの会場からすぐ近くにあり、経営母体も同じのようだ。
すごく、良く作ってある。
杉皮がぎっしり敷き詰められていて、木の伸びも抜群に良い。
鉄パイプや防鳥網が新品なので、設置した年数は新しい。

写真 写真
とても優秀な園 2012年6月29日撮影

 よく見ると、設置で直線がとれてないので、業者に頼まずに自分たちでやったっぽいな。
業者に頼むと反60万円はいくが、ここの園の設備費は、推測で30万くらいか。
開園して7年ぐらいか。
段々田んぼの最上段のところだ。

 高ウネで、過湿にはなっていないようだ。
それにしても、栽培が丁寧だ。
雑草もほとんどない。
品種ごとに一列に並んでいて、早生、中生、晩生の順にならんでいる。

 並んでいるのを眺めると、ちょっと違うのが混じっていると、すぐわかる。
購入数の苗木と、植えた敷地の面積の都合で、ひとつの品種の余りが隣の列に、多少混じっているのも見えた。

写真
ウェイマウスが大粒だった 2012年6月29日撮影

 早生品種のウェイマウスがすげえの。
一個3グラムの特大ウェイマウスだ。
でかっ!。
こんなでかさのウェイマウスがたくさん成っているのは、オレはいまだかつて見たことがないぞ。
ありえないでかさだ。

 味は、ややフカフカしたボケたリンゴっぽいところがあり、実際に食べるぶんには普通に美味しいのだが、柔らかい手触りの品種ゆえ、潰れ易そうで、箱詰め発送には不向きだろう。
このウェイマウスは摘み取り園向きだな。

つづく
2012.7.4 記
作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
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