ブルーベリーの剪定に太枝切りバサミ導入
 あー、寒いぞ。
那須高原の農園に行ったら、雪積もってるやん。
長靴はいて、雪の中歩いてると、足が凍傷になってしまいそう。
もう、このつらさって、何かの罰ゲームか?。

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2012年2月撮影

 長靴は冷たすぎるので、仕方ないので、厚手のスニーカーを履いて、ビニール袋をかぶせた。
これで雪が靴の中に入らない。
これで足は、まあまあ、暖かい。

 とりあえず、作業は何をしようかな?。
一面雪景色だし、土を掘る土木作業は無理だし。
ということで、剪定でもするか。
背景が雪で真っ白なので、ブルーベリーの黒っぽい枝がものすごくはっきり見える。

 時間が過ぎるばかりなので、えーと、もう、あきらめてさっさと作業すっか!。
さて、オレが那須高原で作っているブルーベリー園、なんだかんだと苦闘中であるが、今は、まあまあ…、発展途上国レベルとでもいうか。
で、今、一番気にしている問題は、農園のラビットアイブルーベリーが8月のお盆休みに間に合わないことだ。

ラビットアイがお盆休みに間に合わない!
 那須高原に夏、遊びにくるお客さんは、8月のお盆である8月13日、14日、15日のときが最も多い。
だけど、オレが植えたラビットアイブルーベリーは、8月13日ごろは、まだ熟し初めで、少ししか色づいていない。
だから、お盆休みには、ちょっとしか採れない。
あと少し日数が経てば、8月下旬になれば収穫最盛期になるんだが…。

 でも、もう9月に近い頃では、お盆休みは終わって、お客さんは帰っているよ!。
ラビットアイがその頃になって沢山採れてもなあ〜。
これが、一番気にしている問題なんだ。
8月下旬じゃなくて、もっと早く、8月中旬に成らんのか?。

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ラビットアイブルーベリーのウッダード

 お盆の時に収穫ピークになれば理想的だけど、那須高原は気温が低くて、間に合わない。
ラビットアイの中でも早生品種を選んで植えてあるけど、それでも間に合わない。
せめて十日早くできれば、いや、一週間でもいいから早く熟してくれええ…。
というわけで、大きな悩みなんだ。

 全般的に見て、ラビットアイはもともと遅いが、那須高原ではさらに遅い。
やや遅過ぎるカンジ。
特に気になるのが、9月に入ってから熟す小粒が、かなーりあること。
だらだらと熟し続けて、味もなんだか不充分だし、果粉は消えてつるつる真っ黒の小粒だしぃ。

 じゃあ、熟期が早いハイブッシュはどうか?。
だが、どうしたことか、これが早すぎて、お盆の前に収穫期が終わってしまう。
もっと遅く熟せばなあ〜、という逆の問題になってしまってる!。
なんてこったい!。

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2005年の夏の北海道では、ハイブッシュ
ブルーベリーをお盆休みのときに収穫できた

 今あるラビットアイを台木にして、ハイブッシュブルーベリーで特に晩生のものを接ぎ木する、という作戦もあるが、それをやると収穫までに、又これから何年もかかってしまう。
だからそれは今、模索中だし、年月もかかる。
その代わりに、今年中に改善できそうな、ある新兵器と秘策があった。

新兵器と秘策登場!
 いくつかの新兵器の道具および秘策があった。
それらを試してみることにすっかな。
まずはラビットアイブルーベリーの品種ブライトウェルにとりかかることにしよう。

 ブライトウェルは、品種の特性だと思うが、細かい枝が大量に発生しやすい。
樹の高さが1メートルくらいなら、一般的な剪定のやり方で済ませばいいが、高さ2メートルくらいある大株だと、細枝が過剰に多すぎて、手に負いかねる。
大株は、作業時間がかかりすぎる!。

 これら細かい枝をいちいち切って、完璧に仕上げようとすれば、作業量は膨大!。
剪定するのは本当に嫌んなっちまうぜ。
そのため毎年、途中で嫌になって、半ば放置状態になって、ワッサワッサに茂ってた。
というわけで、新兵器および秘策の実験台にはちょうどいい。

 で、ここで取り出しましたる新兵器というのが、太枝切りハサミ、だ!。
近年、ホームセンターで、よく売られるようになってきた。
取っ手が50センチぐらいもあり、両手を使って切るハサミだ。

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長いのが太枝切りハサミ。小さいのは剪定鋏

 小さな剪定鋏だと、太い枝を切ると、硬くてなあ〜。
腱鞘炎になってしまいそう。
でも、太い枝なら、太枝切りハサミを使った方が断然ラク。
これをオレは買ってきた。

 要するに新しく便利な道具を買ったので、剪定をしっかりやるということさ。
特に9月過ぎの大量小粒ツルツル実の発育負担は、8月の成熟果実を遅らせているようなので、小粒の枝をよ〜く切って無くしてしまえば、他の果実は少しでも早く熟すんじゃね?。

 ラビットアイの大株の前に立って、こんもり生い茂った枝の中で、まず、どの太枝を切ればいいか、見当を付ける。
太枝が何本もあって、1本くらい切り落としても問題なさそうなところ…。
枝分かれがあまりに激しくて、剪定するのが面倒そうなところ…。
どのみち、太すぎる枝は、剪定鋏じゃ切れないし。

剪定するときは主幹形をイメージ
 どこを切ればいいのか…?。
果樹では、リンゴやモモは開心形が多いが、矮性台木の場合では主幹形に仕上げられることが多い。
矮性で木が大きくならないのであれば、主幹形のままに育てたっていいわけだ。

 ブルーベリーといえども、中心の幹があって三角形に枝が広がるカタチ、というのを目標にすると、あーら、不思議なことに、どこを切ればいいのか、判断がつきやすい。
枝は全て放射状に、広がるように、イメージする。
そのようなカタチを目標にすると、その流れに逆らった内向きの枝を切ることになる。

イラスト

 ブルーベリー樹の中心に、太い幹がなかったとしても、現実には曲がりくねってたりして無いことが多いが…、真ん中に棒を立てたような幹(主軸枝)があると想像してイメージする。
で、そのイメージした幹(主軸)を中心にして、内側を向いた内向枝を切っていけばイイ。

イラスト

 枝は全て放射状に、広がるように。
クリスマスツリーのモミのようなイメージで。
あとで葉っぱや果実の重さで枝が垂れ下がるから、枝は真横に向けず、斜め45度くらいに仕立てる。
そのようにイメージすると、どの枝を切ればいいのか判断がつきやすいし、枝が伸びても交差が少なく済んで、作業がはかどるってわけよ。



 で、切る枝の目星がついたら、太い幹の方からエイヤッ!とばかりに、太枝切りバサミでジョッキーン!。
と、切る。
柄が長くて両腕でやれるので、力を入れ易く、片手でやるハサミよりも、あ〜ら簡単、15ミリくらいの枝もザクザク切れてしまう。
いいじゃん、コレ!。
すると、見違えるようにスッキリと空間が空いて、剪定の進み具合が、まっことよろしい。

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撮影日はバラバラなので、背景に雪ナシ

 なかなか良いじゃん!。
なにしろ剪定鋏と違って、太枝切り鋏は、切る枝が太いから、剪定の総量が大きい。
おまけに、樹から少し離れて操作するだけに、樹の全体像がよく見える。

 剪定鋏だけでやると、目先の枝切りだけに気をとらわれて、全体像がつかみにくい。
枝葉を見て木を見ず、とはこのことだ。
元ネタは、木を見て森を見ず、だけど。

 木の周りをぐるぐると何周も回りながら、クリスマスツリーのようなカタチをイメージして、内向枝を切っていく。
2周も3周も回りながら、放射状ではない向きの枝を切っていくと、ずいぶん、枝がすっきりしてくる。
内向きの枝を切るだけでも、大幅に枝数を減らせて、すっきり。



 太い枝を切るのはノコギリが一般的だが、太さ2センチ以内なら太枝切りバサミで切った方が、断然早いし、切り易い。
オレが言う新兵器というのは、太枝切りバサミのこと。
すっかり気に入って、よく使っている。

 なお、この時点では、切った枝の基部まできっちりとは切り詰めない。
太枝切鋏は大柄な道具であるので、細かい作業はどのみちできないし。
きっちり切り詰めるのは、このあとやる剪定鋏の出番となる。

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切った枝の根元が、数センチ切り残しになっているが、太枝切鋏では
基部まできっちり切れないので、この後の剪定鋏に任せる

 あと、切り落とした後の枝が大量にかさばってジャマなので、地面に落ちた枝を、太枝切鋏で切り刻むのが一番役立っているというか…。
落ちた枝は、ノコギリじゃ、切り刻みにくいし。
ひょっとして太枝切鋏は、果樹園よりも、一般家庭において、庭木の枝を処分するのが一番役立つかも…。
小さく切って家庭用ゴミ袋に詰められるから。

太枝切鋏の欠点
 太枝切鋏の欠点として挙げるべきことは、ある。
なにしろ、かなりの力を入れて切る道具だけに、意外と壊れやすく、ガタが来やすいのだ!。
太さ40ミリの枝まで切断可能とか、キャッチコピーが製品に付いているが、実際にはそんな太枝は切りづらい。

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左上のハサミほど太い枝を切れるが、大きすぎて使いづらくなり、
右下のハサミほど細かい作業ができるが、太い枝が切れなくなる

 太枝切鋏の許容直径内でも、限度一杯の太枝を強引に切ると、刃の軸が曲がってしまったのか、スパッと切り落とせなくなって木の皮一枚だけ繋がって残ったりする。
硬くて切れない太枝は、ハンドルの片方を足で踏んで、もう片方のハンドルに体重をかけて押し下げたら、スパンと切れるどころか、バキンと刃が折れたわい!。

 だいたい、直径4センチぐらいの枝は、直角に切りづらい。
仕方ないので、斜めに切るようにすると切り易いが、斜めに切ると、刃の噛み合わせが狂って戻らなくなったりしてな…。
というわけで、もっぱら2センチ前後の枝を切るのが中心になった。
また、生木は切りやすいが、乾いてしまった枯れ木は固くて切りにくいし、逆に、キウイのような樹種だと太い枝でも切り易くて、木質によって切れ味に差がかなりある。
キウイの剪定量って、多くてしんどいし。

 太枝切りバサミを使ってたくさん切って、オレなりに要領がつかめてきたが、それがわかるまでにさんざん酷使した結果、太枝切鋏を2つも壊してしまった。
あーあ、出費が痛い〜。
でもまあ、予想以上に大活躍だけどな。
そして、太枝切りバサミで、ジョッキン、ジョッキン、切ったら、あとは細かい作業をするため、通常の剪定ハサミの出番となる。

つづく

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