害虫に強いスパータン
 一般的にはそんなに知られていない事実になるが、意外なことにスパータンが害虫には断然有利なことを述べておこう。
初夏の展葉の時期から、ブルーベリーでちょっと目立つ毛虫として、マイマイガの幼虫がある。
全長二センチぐらいで、黒っぽくて、刺す毛虫のような外観だが、ネットで調べたところ刺さないという。
オレは見つけたら、葉っぱの裏から指でピンとはじいて、元の場所に戻れないだろうと、これでオシマイとしていた。

 が、あんまり数多く目につくので、手袋はめて、指でひねり潰したりした。
が、生きた毛虫をつぶすのは、あーあ、気味わりい!。
マイマイガも巨大(全長五センチ位)に育ってしまえば、さすがに指でひねり潰そうものなら、指先でバタバタ暴れそうで、悪夢になりそうだ。

写真
大きく育ったマイマイガの幼虫
2009年6月27日撮影

 スパータンの長所のひとつとして、マイマイガはなぜか、スパータンにはほとんど発生しなかった。
オニールには被害が多いのに、品種自体の特長なのか、スパータンにマイマイガの毛虫は発生しにくいようだ。
摘み取り時に、巨大な毛虫でギャーと騒がずに済む。

 いや、オレ自身は騒がないけどよ。
もし、スパータンの観光摘み取りが実現しても、お客さんが巨大な毛虫にたまげるというか、嫌がるだろうから、スパータンに毛虫が発生しにくい性質は、断然おトクなわけよ。

 でも、この毛虫くらいは、騒ぐぐらいで済むから、このあと述べる二つの害虫の恐ろしさに比べたら、よっぽどマシだ。
ブルーベリーの害虫といえば、他には、根を食べるコガネ虫が有名らしい。
が、鉢植えならともかくとして、露地栽培ではコガネ虫の被害はほとんどない。
コガネ虫は、露地栽培の樹にもよく来るが、無視しておいても、露地の樹なら別にそれほど問題でもないのでね。

生きたウジムシを食うってか!
 恐ろしいのは、七月十日過ぎごろから発生するショウジョウバエだ。
オレが客として摘み取り園に行ったときだが、摘みとったブルーベリーを、プラスチックケースに入れて、冷蔵庫に入れておいたら、あとで果実からウジムシがはい出してきた。
冷気で寒いからはい出してきたわけで、摘み取り園で果実をすぐ食べてしまったときは、つまりオレは、生きたままのウジムシを食ったわけね。

 ウゲーッ!。
という、超絶、恐怖の昆虫だ。
防除対策は、あまり、ない。
そもそも、日本の防疫で、飛行機で個人的に持ち帰った果物は、空港の検疫で廃棄になるのはちょっと有名だろ(らしい?)。

 これは、かつての植物検疫は、果実を食べるウジが日本国内に侵入するのを阻止、する事を至上課題としていたほどで、外国では果実にウジが含まれるのは大変よくあることらしい。
果実の奥深くに侵入した虫を殺虫するのは困難で、沖縄県にはこの害虫が侵入していたから、本土に果実を輸送するのは長年禁止されていたほどだ。

 放射線によって不妊化した虫(オス)を放す、などの根気強く長年にわたる撲滅運動が沖縄の島々で行われていたことを、知っている人もいると思う。
そのような強力害虫のミバエ(実蝿と書くのか?)ほどではないが、次点ぐらいに強力な害虫が日本国内にいて、これがブルーベリーには発生する。

 それがショウジョウバエで、単なるショウジョウバエは腐ったり傷んだ果実に産卵するようだが、なかでもオウトウショウジョウバエは健全な果実にも産卵するらしい。
山形県で、桜桃(サクランボ)への被害はどうやって防いでいるのか、オレはよく知らないけどな。
ブルーベリーでは、ある土地では、ウェイマウスの採り遅れた果実に多く発生してた。

 注目すべきは七月十日過ぎに発生することで(北関東にて)、ブルーベリーでは中生(なかて)品種の時期にあたる。
ウェイマウスに限らないが、梅雨真っ最中に熟すハイブッシュの果実には、どの品種にも発生する可能性がある。
が、超・幸いなことに、スパータンは七月十日までには収穫が終わってしまうので、ショウジョウバエの被害が、ほとんどない。
断然有利だぜ!。

 ついでにラビットアイも言うと、皮が厚いためか、これにもほとんど発生しない。
スパータンって、果実を収穫するとき、ふんわり柔らかいのに、梅雨の長雨でもなぜか裂果せず、果実の一部だけが傷むことも少ない。
スパータンって、最高!。

毒毛虫に刺されるとイテェーッ!
 お、そうだ、恐怖の害虫、二つのうち、ひとつはショウジョウバエだったが、もうひとつは、イラガだ。
こいつは、刺されると、すさまじい激痛がある。
細い針のインフルエンザの注射針を、一度に十本、一箇所に突き刺されたような痛さで、オレが痛がりなのかもしれないが、摘み取り観光客が半袖のまま、ブルーベリーの枝葉に腕を突っ込むことは、一度刺されれば次からは恐怖でムリだろう。

 というか、二度と来なくなる恐れすらあるわな。
幼児にこの被害に遭わせるのは、あまりにも可哀想すぎる。
刺されても超・痛いだけで、腫れ上がることはないが、その後もジンジン痛い。
たまにしかいない害虫だけどな。

 だから、虫刺されの薬を塗れば一応済むかもしれないが、イラガ対策についても、これまた、季節昆虫?で、八月に入ってから発生する。
だから、スパータンには関係がない。
イラガは、七月中はまだ幼生で、一箇所に密生していて、その時期なら小さいので、まあ〜まだ、そんなに激痛ではないので、葉っぱごとまとめて取り除いて、足で念入りに踏めば済む。

 八月以降は幼虫は分散して、大きく成長してきて痛くなり、というか先日、刺されてしまった。
超いてえ!。
だが、九月以降は、イラガはさらにもっと大きく成長!。
これに刺されたら…、こえーよ!。
暑いからって、半袖のまま腕をつっこんで刺されようものなら、ああーっ、あまりの痛さにオレは恐怖だぜ(摘むなら長袖と手袋で)。

 九月以降もブルーベリーは成っているからって、でも、とてもじゃないけど観光摘み取りとしては開園できねえとオレは思うね。
ブルーベリーに関する一般の新聞記事や、広告宣伝ではそんなことは書かれていない。
取材先に迷惑がかかるとか、果実にウジとか激痛の毒虫がいるとか、書けないよな。

 記者の言い分もあろうが、都合の悪い事実を伏せて、六月から九月もしくは十月までブルーベリーが収穫できます、なんて美味しい記事ができて、そんな記事を読んで信じて、自分もブルーベリー栽培を始めたとしても、現実に、害虫で痛い目に遭わされるのは、栽培者本人だからね。



 多くの人々に隠すことができても、また、少数の人々に長い間隠すことができても、しかし、多くの栽培者を長く騙すことはできない。
良いことばかり載せても、事実は結局わかることさ。
ともあれ、害虫耐性は偶然だと思うけれど、スパータンは害虫に強いし、発生の時期に関係がないので、おトクだ。

 あ、スパータンだけに多く発生する害虫の被害もあって、五粒や十粒ほど付いた果房の茎を噛み切る、という困った昆虫がいる。
木の下に未熟な果実の房が、バラバラと落ちているという被害が多かった。
害虫の被害のようだが、ひょっとしたら、生理落果かもしれない。

 スパータンはもともと花芽数がやや不足なうえに、この果房ごと落下がけっこう多いので、枝の分岐も少ないこともあって、花芽を減らす剪定もできなくて(やると結実皆無の結果枝が多数発生)、結局のところ、スパータンは剪定もいらない、というおトクな性質もあるのだった。

2009年8月9日 記
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