ブルーベリーでお誉めのメールをいただく
 感想メールが届いた。
さっそく読んでみる。

「オニールはサイズも申し分なく、甘〜くてとても美味しかったです。スパルタンはあのサイズ、さすがですね。我が家のより、ちょっぴり酸味がきいていましたが、甘みとのバランスも良くこちらも美味しかったです。」
「他の方にもお味見してもらいましたが、甘くて美味しいと好評でした。」
「甘くて、粒が大きくて、勿体ないくらい新鮮で感激したそうです」
「全員、口を揃えて『甘〜い!美味しいね(^ ^)』でしたから、高品質であること間違い無し。自信を持っていただいていいと思いますよ。」

 と、お誉めのメールであった。
オレは感激〜であった。
果樹栽培を始めてから、長い年月になるけど、これほど誉められたことは、今だかつて無いぞ。
その後の予約分についても果実をせっせと発送したところ、また感想メールをいただいた。

「スパルタンとオニール美味しいってメール下さいました。」
「こんなに大きくて美味しいブルーベリーは、初めて食べた!。近所の農産物直売所や道の駅などで売っているものとは大違い、とのこと。子ども達も大喜びで貪り食べていました。スパータンは、甘みも酸味もしっかりしていて、鮮烈な味ですね。こんなに美味しいのは家では作れないから、やっぱり、果物は自分で作るより買ったほうがずっといいよね!(笑)」
「ブルーベリーきのう届きました。大粒で完熟、美味いです。家内も喜んでいます。ありがとう。」
「大粒で美味しいです!!。当たり前ですがスーパーに並んでいるものとは全く違いますね。」

 ベタ誉めであった。
オレの栽培技術は大したことはなく、ただ、一般に出回っているブルーベリーと品種が違うだけなんだ。
その違う品種である、接ぎ木スパルタンを育てるのは、一般のホームベルやティフブルーを栽培するのと、さほど違いはない。
ブルーベリー畑で収穫中、散歩する近所の人がたまにいて、オレから声をかけた。

「やー、こんにちはっ!。ブルーベリーがようやく採れるようになって、今収穫してるところ。ちょっと入って味見していってよ!」
と、ほとんどキャッチセールスさながらだけど、近所の人だから気楽だ。
近所の人とはいえ、全然知らない相手だけど。
なーに、知らなくたって、オレの住んでいるところは田舎だから、相手はオレのことを知っていたりするからな。

 畑に入ってもらって、味見してもらう。
「うまい」
と、ボソッと一言感想は男性が多かったが、おばさんの方が多弁だ。
「うちのブルーベリーはちっちゃいのよ。たーくさん成るよ。木もこんくらい大きくなって、でも実がちーちゃくて、こんなふうに(とオレんとこの果実を示しながら)大きくはないよ。やっぱり肥料やんないとダメ?。剪定する?。」
とこんな感じの会話があった。

 オレも答える。
「ウチのは品種が違うんで。大きい実のなる品種を、接ぎ木したんですよ。このあたりは土が肥えてるから、肥料やんなくても大丈夫。剪定も、この品種は実の付きが悪いから、やってないです。」
ウチのあたりは長芋やゴボウの産地で、肥えた黒土が深さ一メートル以上あって、普通の果樹は成長が良すぎて実付きが悪くなるほどだ。

 スパルタンを自根のまま植えると、こんな土質でも育ちはあまり良くないから、挿し木の自根ではなく、ラビットアイを台木にした接ぎ木苗でなくてはならない。
だが、接ぎ木苗を作るのは、これが一苦労。
ホームベルの枝を挿し木して、二年ほどポットで育てる。
ようやく育ったら、それを根元から切って、そこに接ぎ木して、さらにもう一年育てて、やっと完成だ。
ここまで育てるのは大変な手間だし、発育が悪い個体は、露地植えしてからも、これまた成長が悪い。

 かつてオレは、ウェイマウスとスパータンの接ぎ木挿しをやって、ウェイマウスは約百本接いで六本だけ成功して、今でも六本全部生き残っているが、スパルタンはさらに成功率が悪かった。
ようやくできた苗木も、露地植えしてからは半分以上が大きく育たずに、雑草に埋もれてダメになってしまった。

 こんな苦戦が、長いこと続いたので、思い出すのはツライ。
スパルタンを育てるのは難しいと判断したが、だがこの判断は、他の園でスパルタン接ぎ木樹の解説で否定された。
オレがスパルタンの接ぎ木苗を育てて、あまりにも大変だったことをその園主に説明しても、とくに賛意してくれなかった。

 そこの園では、大きく育ったラビットアイを元から切り詰めて、一株に何箇所も何本もスパルタンの穂木を接ぎ木していた。
初夏以降は、穂木のいくつかから強力に芽が伸びて、枝分かれしていき、二年ぐらいで大きく育っていた。
後から来たのに追い越され、オレよりも早く成長して、もうたくさんの果実を収穫しているのだった。
大きく育ったラビットアイを元から切り詰めて、そこに何本も接ぎ木するコトは、それは他人の知識の受け売りだと思うが、試行錯誤が続いて苦戦のままのオレとしては悔しかった。

 つまり、答えを明らかにしてしまうと、大きく育ったホームベルやティフブルーを根元から切って、それにスパータンの穂木を接ぎ木すれば、初年度からぐ〜んと成長する。
これで接ぎ木の活着も、枝の伸びもすごく良くなり、年月も短縮できる。
このようにして育ってからの以降は、それまでのホームベルやティフブルーを育てるのと、世話は大差ない。

 一方、挿し木から育てて、小さな苗を大きく育てていくことは、あまりにも手間がかかるし、ポット苗で成長がひょろひょろ伸びて元気が良くない苗ができがちで、こんな苗木に接ぎ木しても、活着しないんだぜ。
接ぎ木の技術の上手下手のせいじゃねえ。
なんとか活着しても、その後の成長が悪いしよ!。
台木にあふれんばかりの元気があるかないかで、伸びは大きく違ってしまう。

 つまりだ、「こーんなに大きく育って、でも実がこーんなにちーちゃくて」というブルーベリーの木があったら、それはラビットアイブルーベリーだと思うが、それに接ぎ木するだけで、世話はそれ以降も同じままであっても、大粒で美味なブルーベリーが採れるようになるってことさ。

つづく
2009年9月6日 記
作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
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