ブルーベリーの接木苗を、接ぎ木挿しで作った
 接ぎ木挿しの穂を約二百八十本も作って、じつに八割が失敗しちまったが、これの内訳の詳細はいかに?。
成功率は、いかほどに?。
思えば、地中に埋まりっぱなしの台木にあたる穂木が腐りやすかったなぁー。
これから振り返って述べてみよう。

写真 写真
右側の写真は、穂木の品種は発根したものの、台木になる品種は枯れてしまった

 まずは、スパルタンの接ぎ木挿しについてだ。
大粒だし美味しい品種で、そのまま育てるのは弱いが、ラビットアイを台木にして接ぎ木すると良く育つという、接ぎ木にピッタリの品種。

 スパルタンはそれまで主に自根で育てていたが、発育不良がたたって、接ぎ木に使う枝というか、穂の数をあまり用意できなかったんだ。
困った。
今まで順調に伸びた枝が少なかったし。

 枝をビシバシ切っても、それでは翌年に成る実が無くなってしまう!。
それでもなんとか枝を確保して、スパルタンの接ぎ木挿しの穂木を作った数は、その数、百四本。
かなりチカラを入れたのでね。
そして、鹿沼土とピートモスを同量程度に混ぜた挿し木床に挿した。



 スパルタンの穂木の数があまり多く用意できなかったのが少々不満で、オレとしては、もっとやってみたいぞ!。
そこで、スパルタンと同じような実が成って耐暑性もあるという、耐暑系スパルタンだか別品種だかよくわからないまま品種同定と増殖に努めているものがあるので、これも接ぎ木挿しでやってみた。

 この謎の品種で作った数は、百十二本なり!。
これは正式なスパルタンとは分けて混ざらないようにしているが、良く似ていて(同一品種かもしれない)、耐暑性スパルタン似?とか呼んでいるとややこしいので、原木のある所の地名をとって仮称「キセ」としてある。

 ここまでで作った接ぎ木挿しは、スパルタンとキセを合わせて、のべ二百本を超えた。
が、台木にあたる穂木がまだ少々残っていた。
そこでもう少しやってみることにして、ジャージとダローも追加で作ってみた。
ジャージ四十一本作成。
ダロー二十本作成。

 以上で、完了。
作った接ぎ木挿しは、合計二百七十七本。
これを二〇〇六年三月から四月にかけて作って、挿し床に挿した。
この時点で展葉はまだだったが、この結末はいかに?。

その様子



 春になって、新芽が伸び始めた。
春に葉っぱが開いても、根っこはまだだし、接ぎ木部分が活着(かっちゃく)しているかどうかはまだわからない。
初夏には根を出すはずだ。
台木にあたる穂木に根っこが伸びれば、成功ということになる。

 さて、七月になった。
もうそろそろ良い頃だ。
挿し木の箱を、せっせと用土をほじって確認してみると、なにしろ台木にあたる穂木が腐ってしまったものが多い!。
台が生きて根を出したものは少なく、接ぎ木挿しが成功したといえるのは、スパルタン百四本中、たった六本だけだった。
六%以下じゃん!。

 台木にあたる穂木が生きてはいるけれど、未発根のものが他に十一本あった。
発根はスパルタンの穂木部分のみだ。
だが、台木にあたる穂木からは根が出てない。
このままじっと置いとけば、台木にあたる穂木から、あとで発根するかもしれない。
この成否不明は十一本。

 スパルタンの穂木だけが生きて発根して、台木にあたる穂木が腐って枯死したものが多かった。
これは単なる自根苗として使える。
これが、三十七本あった。
写真
参考写真

 穂木の葉っぱがうまく展葉しないものなど明らかに失敗のものは、じゃんじゃん捨ててしまった。
というわけで、とりあえず、ざっといえば、スパルタン百四本中、成功六本、成功率約六パーセント。

 成功率約六パーセントというのは、かなり低い数値で、十本やって、九本以上失敗だもんな。
他、成否不明十一本、自根苗三十七本なり。



 耐暑性スパルタン似?というべきか、キセと仮称をつけたものは、これの接ぎ木挿し成功は二十本。
台木は生きているけど、未発根五本。
自根苗になったもの四十九本。

 まとめると、百十二本中、成功二十本、成功率約十八パーセント。
他、成否不明五本、自根苗四十九本。
スパルタンの成功率約六パーセントと比べると、約十八パーセントの成功率というのは結構違うので、別品種かもしれない。



 ジャージは、明らかにスパルタンよりも発根量が多かった。
ダローもまた発根量が多かった。
モジャモジャと根が伸びてて、こりゃ、発根は容易な方だろう。
ジャージやダローは、挿し木しやすい品種のようだ。

 ともあれ、ジャージは、四十一本中、成功十一本、成功率約二十七パーセント。
ダローは、二十本中、成功三本、成功率約十五パーセント。
という次第、だった。

接ぎ木挿しの改善案
 台木にあたる穂木が未発根のままで、接ぎ木挿し成否不明という本数がかなりあり、木が黒ずんで腐ってしまったものはダメだが、腐らなかったものについては、その後、日数が経ってみると、ちゃんと発根しているものが多かった。
そうか!。
成功の糸口が見えてきたぞ!。
息ができさえすればいいんだな。

 台木にあたる穂木が、ちょっとでも地上に出てれば、ちゃんとつながるようだ。
ということはだ、これは使える!と、夢中で改善案を考えた。
なにしろその頃は、ブルーベリーの接ぎ木苗が各方面から売り出されていたころで(二〇〇六年夏〜秋)、それがかなり高価だったこともあって、よっしゃあ!、オレもこの技術をもって参入したろうじゃないか!。

 あれをこうしてああするこうする、と改良案を夢中で考えた。
思いついたやり方はこうだ。
あっけない案になるけど、普通の切り接ぎとよく似た形になる。

写真
合成写真 茶色の部分が地中になる

 割り接ぎの際、枝の真ん中から、ナイフをぐっと切り込むと、下方までまっぷたつ!とはならずに、途中で片寄ってしまいがちだったが、この片寄りをむしろ利用する。
つまり中央から深く切り込んで、薄くなってしまった方を二〜三ミリ残してハサミで基から切り落とす。

 そこへ、穂木を差し込む。
切り接ぎと同じだ。
ただし、台木の薄皮の方はハサミで切り除いてあるから、穂木の切り口を包むように覆うことはできない。

 というかこれがポイントで、穂木の下端の切り口が露出していることが利点になる。
で、テープで巻く。
穂木の下端の断面を覆わないようにして、台木にあたる穂木の上端の芽も覆わないようにして、テープを巻く。

 こうして出来たら、挿し床に挿す。
穂木は、挿し床の用土から水分を吸うことができるから、接ぎ木挿しの欠点である穂木が水分不足で枯死することを防ぐことができる。
また、台木にあたる穂木が、酸欠で腐るのを防ぐことができる。



 と、なるハズだ!。
作業の適期は三月だろうな。
初夏には、葉っぱが展葉してくるが、穂も台もどちらもそのまま伸ばして(台の方の新芽を取り除くと、台自体が腐る恐れあり)、そして、接ぎ木部分の癒合や台木からの発根はこれがかなり遅いので、七月一杯は動かさずに、秋になってから鉢分けすることになるだろう。

 接ぎ木苗としては秋の時点では小さすぎるので、翌年一年間は養生して大きく育てて、計二年かけてようやく完成!、という予想だ。
このやり方の接ぎ木挿しで失敗したものは、穂木の品種および、台木にあたる穂木の品種ともに、単なる自根苗として使えるのがメリットだ。
失敗のうち、台木にあたる穂木の品種の方は、そのまま育てて、後年に通常の接ぎ木の台木としても使える。

 とまあ、以上がオレが体験してきた接ぎ木挿しの内訳と、改良案を述べてみた。
この試行錯誤は、企業秘密の情報?といえなくもないのだけど、失敗体験や成果をタダで公開して平気なのか?と思われるかもしれないが、なーに、オレは接ぎ木挿しの改良は確かに取り組んではいるけれど、ほとんどの情報は、みな他の人から善意のタダ同然で教えてもらった知識をモトにしているんだ。

 オレはそれをもとに、ちょっとプラスしただけ。 
といっても、まだ実際にはやってないので失敗するかもしれないし、ハイリスクハイリターンかもしれないので、各自の責任でやってくれい!。
2006年12月9日 記
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