ブルーベリーを接ぎ木してみた
 ブルーベリーを挿し木で殖やしてみよう。
そう思って、枝を切って、腐葉土に挿して日陰に置いた。
芽が少し出て、そのうち枯れておしまい。
根っこ全然でとらん。

 初回はあっけなく失敗。
本をよく読んで、どんなものか理解しようと試みた。
これがな、意外とめんどくさそ、ムズカシそう。
オレはやらずに、苗木買うことにしたよ。

 購入したラビットアイの苗木だけ植えて育てて、ハイブッシュを栽培しなかったが、なにしろハイブッシュブルーベリーは土質の条件が難しくて育てるのが大変みたいだし。
でも、六月ときたら、オレんとこのラビットアイはまだ何も収穫できないのに、世の中では(ハイブッシュ)ブルーベリーがもう収穫できてて楽しいだのオイシイだのそんな時事話題が聞こえてくるのでは、もうなんだか、やはりオレもこの時期には収穫したいのだ。

 そこで、ラビットアイを台木にして、ウェイマウスやスパータンを接ぎ木しようと考えた。
ラビットアイなら黒土のままでも一応生育するから、根はラビットアイ、上部は接ぎ木して、果実はハイブッシュ、という作戦だ。
これなら、ピートモスを与えるだの、将来にピートモス補充をしなくても、マルチがどうのとか、ハイブッシュの栽培の難しさについてあまり気を使わず、世話をかけずに、オレもハイブッシュを収穫できるだろうよ。

 というわけだ。
といっても、オレは果樹をいろいろ長いこと栽培してきたが、接ぎ木というものをやったことがなかった。
だから、その技術もなかった。
どうしよう。

ラビットアイ台木にハイブッシュを接いでみた
 またまた年月はどんどん経ったが、T&Fの福田さんちにて、覚える機会があった。
接ぎ木と挿し木を同時にやる方法を教えてもらう。
挿し木しながら、その挿し木に接ぎ木も済ませて、同時に行う接ぎ木挿し、という手法だ。
わかった。

T&Fさんちでの接ぎ木講習
 接ぎ木の台となる木もオレは持っていなかったが、そのとき、福田さんからスパルタンの穂木も多数いただいた。
有り難い。 
オレはこのやり方でやることにした。

 接ぎ木テープも(当時)苦労して探して買ってきて、二〇〇二年二月ごろに作業開始。
自宅でオレもやってみる。
ホームベルの枝を切り刻んで、挿し穂を約百本確保。
ウェイマウスやスパータンの穂木も、自分で養成している株から切り取って、確保。

 ホームベルのシュートの枝を十〜一五センチほどに切り(この枝も福田さんから多数もらった)、それにスパータンの枝を一〜二芽ずつつけた状態で短く切って接ぎ木して、接ぎ木テープで巻いた。
根性でやる。
接ぎ木って、めんどい作業だ。
慣れないせいもあってか、一時間かかって、十本もできんよ。

 ああ、疲れるよう〜。
もうイヤイヤやっているので、こんな苦労はこれっきりにして、あとは苗木が早く育って、早く収穫できるようになってほしい!。
ロングポットというビニールポットに、この挿し木を一本ずつさして、コンテナに入れて完了。
一時間に六〜十本ほどしかできなかったが、根性根性で、ウェイマウスとスパータンを約五十本ずつ、計百本を接いだのだった。

写真写真
どちらの写真も2001年12月15日撮影

 やったぞー!。
百本だっ!。
これで美味なスパータンと、収穫が最も早いウェイマウスを、簡単に、たーくさん食べられるぞ。
苗木が百本も!、用意できたぞー。
オレは、ようやくせいせいして、うまいスパータンが順調にグングン育っていく姿を夢見たのであった。

抜きつ挿しつつブルーベリー挿し木
  五月、芽が出てきた。
穂木の芽でなくて、台木の方の挿し穂の方から出てくるのが多いので、それはむしっておいた。
ウェイマウスやスパータンの芽よ、早く伸びてー。

 そのときオレはアパート住まいで、ブルーベリーの挿し木やポットは実家の庭に置いていた。
だから、一週間に一度くらいしか見にいけない。
水だって、当然ながら一週間に一度くらいしかやれない。

 だから、ロングポットという長いポットを使うことで、水持ちを良くした。
滅多に売ってなくて、探し回ってしまったし、値段もひとつ七十円くらいもして高かったな。
普通の黒いポットは結構乾きが早いことを知っていたので、オレはその対策として、このような道具を使ったというわけだ。
補足:単に用土が多く入るから、水持ちが少し良いだけ。

 ブルーベリーの接ぎ木挿し、挿し木と接ぎ木を同時にやるというとても便利なはずの手法なんだが、六月になっても七月になっても、なんか甚だしく不調そうで、芽が伸びてこないんだ。
少し芽が伸びたものもあったが、それ以上成長しない。
芽が枯れたポットをひっくりかえして、土というかピートモスの中を調べてみると、根っこが全然でていない。

 カルスといって、癒合のためにブツブツのごわごわした吹き出物?が、切り口のところに発生していたが、無気味なのでオレは触らなかったが、そこから根っこがまったく出ていない。
用土に水分は豊富ではないが、ちゃんと湿っている。
なんで、根が出ないんだあ?。

 根がでないから、少し伸びた芽も成長できないわけだ。
ポットをひっくりかえして確認しても、どれもこれもあれもこれも、ことごとく失敗の様子で、なにしろ穂木の芽が伸びてこないものばっかりだから…失敗はすさまじかった。
結果的に失敗率はじつに九十パーセント以上の高率に達した。

 スパータンを、約五十本接ぎ木挿しして、成功は一本で、失敗率は九十八パーセント。
ウェイマウスを、約五十本接ぎ木挿しして、成功は六本で、失敗率は八十八パーセント。
ウェイマウスの方が成功率は高かったのは、スパータンの難しさによるためか。
うう…なんじゃこれはぁ〜!。

約百本だが、正確には九十六本。

アイシャルリターン、私は帰ってくる
 失敗が明らかになりつつあった八月後半、粘るオレは、今度は、芽接ぎというものに取り組む。
ふつう、接ぎ木というものは春先にやるものだ。
そしてそれが主流なんだが、芽接ぎという手法もあって、これは八月後半にやれるんだ。

 ブルーベリーに関しては、普通の接ぎ木が失敗したときには、芽接ぎをやればフォローができるというので、オレは今度はこれでやってみたのだ。
ブルーベリーの本の接ぎ木記述の個所を見ながらやる。
枝の側面に上部から一センチほど切り込んで、それに芽をはめるといいらしい、な。
で、カッターナイフを手に斬り込む。

 えいっ。
一センチほどでいいというのに、皮に切り込むときに少し力が要るせいか、切れ出すと、ズズッと十センチも切ってしまって、もう信じられないような切り過ぎだ。
別の枝でやりなおす。
ズズッ!。
また、十センチも長く切ってしまい、これをなんども繰り返したので、この方法はやめにして、別の芽接ぎの方法で芽をはめる。

 T字接ぎという手法で、ピタッとはめ込むことができて、気分的にもよい。
一週間ほどして、葉柄がポロッと取れれば成功であり、成功であった。
さて、結果だけは先に述べておこう。
二〇〇三年の五月に発芽は全くせず、全滅したのだ。
こんどは失敗率百パーセントに達した!。

 同時進行しながら、次なる手もオレはうつ。
今度は、伸びたホームベル苗木を、これの葉っぱが繁っていたが、まだ初秋であったためだが、これを無理やり切り詰める。
秋であっても、こんなに切ってしまえば切り口から芽が再生してくるのだが、それを狙って、切り口にはスパータンの穂木を切り接ぎした。
強引な手法だ。

 これはいかに?。
約十本くらいやったと思うが、二本ほどくっついたようだ(成功率二割?)。
なにしろかなりぶっきらぼうにやったので、根元付近で切ったわけでなく、十五センチほど上で切って接いだので(根元の地表スレスレよりも、上の方が作業しやすかった)、つまりオレの方の根気が切れてしまいそうになっていたこともあって、ヘンな姿の接ぎ木苗になってしまった。

ねばーえんでぃんぐ粘ーり
 二〇〇二年の挿し木&接ぎ木は、空前の失敗率で一年が終わってしまったが、接ぎ木と挿し木を同時にやるのはオレの技術レベルではまだ難しい、と判断して、台木には根がちゃんとある状態で、それに接ぐことにした。
T&Fさんちでもらったホームベル苗が大量にあったので、これを使うことにする。

 台の木に活力があれば、接ぎやすくなるだろうよ。
春になるのを待って、スパータンの枝を切り接ぎする。
これは、接ぎ木としてのやり方としては、もっともふつうのやり方だから、あまり失敗することもなかろう。

 約二十本、接ぐ。
接ぎ木用の穂木の枝が不足していたが、そのころちょうど『サッシ屋さんのブルーベリー』の著者から、スパータンの成木をもらっていたので、これの枝からも穂木をとって、接ぐ。
で、待つ。

 芽が動いてきた。
ちょっと開いて伸びたものもある。
ふう、もう安心だ。
二十本全部、芽が動き出してきたぞ。

 が、これまた失敗率がたまげるほど高く、芽が、それっきり、それっきりもう〜、伸びなくなったものが多数。
どうしたわけか、穂木が伸びずに、台木のホームベルの芽が伸び出すものが多い。
その後も接ぎ穂の芽は伸びず、うまく育たなかったのだ。
成功しても、死なない程度に危なっかしくつながったものが多い。

 結局、約半数の接ぎ木失敗が判明し、ここに至ってオレはラビットアイを台木にしてハイブッシュを接ぐことは、全面的に投げ出して、あきらめることに決めた。
ブルーベリーの接ぎ木、もうやらんっ!。
成功が少ないのは、もともとブルーベリーの活着が低めなのかもしれないが、オレの技術が低いことも大いに原因がありそうだ(よその園の接ぎ木の例ではこんなに失敗してないし)。

 といいつつも、成功した苗木は大事にせんとな。
なんとか作れた接ぎ木苗は次のとおり。
ホームベル台スパータンが十四本。(←本数が違うかもしれないので、あとで確認)
ホームベル台ウェイマウスが六本。

 スパータンの接ぎ木苗は、その後、うっかり触って接いだ部分からポッキリ逝ったものが一本、台風の強風で大きく伸びた苗が接ぎ木部分からポッキリ逝ったものが一本あった。

 将来は、コウモリガの被害で根元に穴を開けられることもあるだろうし…、今は、台木の幹には防虫のため?に墨汁を塗っておいた。
穂木と台木の接ぎ目の見分けのためにも、このスミ塗りで明白にわかって便利。
とくに根元付近からシュートが発生してくると、それが穂木のスパータンの部分からだったら大事にするが、ホームベルだったらむしるので、見分けがわかると便利。

 あと、接ぎ木用テープが、接ぎ木部分に巻いたままだと、成長したときに食い込んでしまうと思って外してみたら、やはり食い込んでしまって、そこだけ細くなってしまっていた。
台風で接ぎ木部分からポッキリ外れて折れてしまったから、テープを外したままでいいかどうかは、その部分の太り具合をみなきゃならんが、接ぎ木というのは、何かと気を使うね。

まだ当分つづく

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