涼しい那須高原
 那須の素敵なペンション「ヴィンテージ倶楽部」に陣取って情報収集。
以前に近所の人が、試食用にブルーベリーを持って来たことがあって、場所はすぐそこだという。
おお、行ってみようじゃん。
牧畜の施設の残骸があって、老夫婦が元の牧草地にブルーベリーを植えたようだ。

 昔ながらの那須の開拓団という雰囲気が残ってて、見川鯛山の「田舎医者」文庫本シリーズを思い出した。
今は絶版が多くて滅多に見かけないけど、 那須高原の開業医のエッセイで、とっても面白オカシイ本だ。
ここに描かれる那須高原の冬はあまりに過酷で冷たく、開拓民や患者はスケベで、ひょうきんで、貧しく、陰惨な生活が描かれる。
夏の爽やか気候と、金持ちや高貴な方の別荘での避暑生活とは対極の姿だ。

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 「そのお医者さんなら知ってるぞ」という、農園おじいさんの話を聞いていると、ブルーベリーは、寒さと強風にやられて育ちにくいんだそうだ。
とくに北西の風の害が多いという。
「今ではここらは◯◯開拓地という言い方はしないんだな、そんなに開拓という言葉は変かねえ?」ともお爺さんは言い、先進技術を常に取り込んできた経緯とハイレベルの農業技術の話を始めたので、外観とのギャップがすごい。

※冨沢ブルーベリー園という。

 今年(二〇〇二年)は暖冬および春先の気温が高かったこともあって、関東の平野部でブルーベリーが熟するのは例年よりも二週間ぐらい早くて六月一日ごろから一部収穫が始まっていたが、那須高原では気温が低かったので、六月二十九日時点でも、まだ収穫が始まっていないという。
今は早生のブルーベリーが少しだけ採れたそうだ。
うむむ、じゃあ、成ってたユスラウメを収穫させてください!、とオレは頼み込んで、赤い果実の収穫開始。

写真
収穫したユスラウメ
2002年6月29日撮影

 口に含んでボリボリと一気に食べると、口の中で果肉とタネを選り分ける作業が大変で、いちいちタネをプププププププッと大量に吐き出さねばならないが、ともあれ、うまかった。
たくさん使うなら、ユスラウメもジャムにして裏ごしでタネを除くとよさそうだ。

 ジャムといえば、ライバルといえるバターやハチミツもチェックチェック。
ペンションのヴィンテージ倶楽部からは、南ケ丘牧場という観光牧場も近いので、行ってみたら、牛乳ビンを自ら振って「甘くてふんわり」手作りバターができちゃうしで、クローバー花のハチミツ、ソバ花のハチミツ、など色・味が多様なハチミツ小瓶があるわで、見川鯛山先生サイン入り本まで買ったりして、オレとしても忙しい。

青いブルーベリー山脈
 いざ七月になって二十三日のこと。
那須高原へとクルマを運転して突き進む。
那須高原といえば、軽井沢と並んで有名な避暑地なわけで、 オレんちから比較的近いこともあって(片道百キロあるが)一応行ける範囲内だ。

 那須高原に凝っているオレとしては、なぜ那須高原か?というと、地方だけどセンスが良くて、ステキなおうち群と、知的文化あふれる住民達という、普通のイナカには無いものが、那須高原には「有る」からだ!。
(上記のオレの思考は一部偏見あり)。
もとから田舎暮らしのオレとしては、イナカのダサダサ文化にはもうヘキエキしてるので、オラこんなムラいやだァ地方に住むならオレも別荘のような生活にしたいっ、つーわけなのさ。

 おお、那須の青い山並みが見えてきた。
川と堤防も見えてきた。
まさかこのシーンは!。
「青い山脈」というチョー昔の映画で、女子学生が堤防上を自転車で走るシーンが、本物で見られるかも?。
ハラハラしながら、ジッと見つめたが、誰も通らなかった。

 ロッキーさんちのおうちに到着!。
出発地の茨城県は暑かったが、ここ那須の方がいくぶん涼しい。
とくに夜間は暑苦しくなくて、ずっと寝やすいそうだ。
ズラリと並んだブルーベリーの樹列を眺めると、まったく無の状態から、ここまで作り上げたロッキーさんの力に感服した。

 案内を受けて、素敵なブルーベリーを見ながら歩きつつ、優雅に果実をつまんで食べる。
あー、おいしい。
あと数年後、ブルーベリーの樹がもっともっと大きくなって、ギッシリずっしり収穫できる光景を想像したら、とても楽しくなってきた。

 リンゴ園と、スモモの木もあり、スモモは七月二十三日時点で大石早生が見事に完熟中。
数も良く成っているし、あと、過熟で割れた果実には、クワガタ虫を何匹も見つけた。
オレとしては、つい昆虫の方にも興味が向いてしまうがな。
ロッキーさんちで頂いた収穫は、ブルーベリーの果実達と、スモモと、クワガタ虫と、素敵な景色と、涼しい空気。

野生のサルナシ見ーっけ
 見っけ、見っけ、サルナシ見ーっけ!。
場所は、那須高原。
見つけたサルナシは、果実がサクランボ型だ。

写真写真
ペンション「ヴィンテージ倶楽部」近くの道路沿いにて
2002年10月2日撮影

 サルナシというのは、関東地方の平野部ではあまり見かけない野生果実だけど、どうやら、標高が高い地域など、涼しい土地を好むようだ。
サルナシというのは「猿梨」というネーミングが大分問題があるよーな気がするが、キウイフルーツの親戚なんだ。
半分に切ってみると…ほら、キウイフルーツのミニチュア版だ。

写真
切ってみればキウイそっくり
2002年10月3日撮影

 果実の表面に毛があるタイプのサルナシ近縁種があって(名前忘れた。中国産だが日本の四国や九州の山野にも生えているらしい)、それを元にニュージーランドで品種改良されたのがキウイフルーツというわけなんだ。

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