ラズベリーケーキを追う 最終戦
 ベリーは、パックに詰めた生果実そのままの販売から、アイスクリームの着色料代わりまで、様々な姿を見ることができた。
そして、加工の度合いが強くなるほど売上高が大きくなり、加工すればするほど、果実の量(割合)は少なくていい、というのが今回の遠征の結論だ。

 ふふ、全て以前からのオレの予定どうりである。
ケーキは冷凍しておいて、使うときに解凍してから、てっぺんに生ベリー果実をのっけて完成すればいい。
採れる果実はあまり多くなくてもよい。

 ラズベリーケーキだが、ラズベリーは雨で腐り易いが、野生のモミジイチゴは、梅雨入り前の五月に収穫できるということにオレは注目した。
つまり、オレが自己流にラズベリーケーキを実現するならば、早生のラズベリー品種を使うことで雨を避けることと、ミニケーキのトップに使う、ことだ。

 よし!。
よって、この予定に沿って、遠征の前年から栽培を開始したのだ。
時間のつじつまが合わないのは、後からデッチ上げた理屈だからである。
ときは今!、雨が降る前の五月かな。

※ 明智光秀の短歌「時は今 雨(天)が下しる さつきかな」にムリヤリあてはめた。

 モミジイチゴは、山道の道ばたなどに生えているから、とってくれば株は一応入手できるけど、モミジイチゴ狩り(果実採集)の経験でいえば、本数の割りには収穫量が少ないことが気にかかった。

 ちょうどそのころ、インターネット上で、五月に収穫できるキイチゴの苗販売を見つけた。
ナチュラパス
五月といえばこれは多分モミジイチゴだろうし、この販売用のものは、果実が比較的よく成るようだ。
オレとしては、どちらも入手しておくことにした。

 さて、野生からとってきたモミジイチゴだが、やはり成りが悪い方のうえに、トゲがすげえ鋭いでやんの。
庭での栽培は痛そうでキツイ。
おまけに、野生で勝手に果実が成る植物だから、大事に栽培してみようという気力が全然わかないのだ。
そんなオレの心理を反映したか、結局今年は、山吹色の実の一つも無くて悲しむありさま。

※ 大田道潅の「七重八重 花は咲けども 山吹の実の一つだに なきぞ悲しき」にムリヤリあてはめた。

写真
近所のヤブで見つけたモミジイチゴ 1998年5月31日撮影

 一方、通信販売で買ったキイチゴの方は、てっきりモミジイチゴの選抜種だとばっかり思っていたが、そうでないことがわかった。
木苺なんだけど、クサイチゴというややこしい名前の木苺。

 昔の日本では、いちごといえば木イチゴのことを指していたが、今ではオランダイチゴの宝交早生や女峰やとよのか、といった草の形態のものもイチゴと呼んでいるわけで、別種の植物なのに同じ名前では不便だから、植物学的にいえば、草イチゴ、木イチゴとして区別することになっている。

 草系か木質系か、で区分けしている。
で、今回のクサイチゴは、これは木質系のもの。
でも、背丈が低いから草のようにも見えるので、キイチゴのクサイチゴという、混乱の極みのような名前だ。

写真 写真
五月下旬に収穫した。2004年5月29日撮影
野生のものは雑草のように生えているらしいが、オレは今まで一度も見たことがない。

 「キイチゴ湘南」と「マイラビット」という品名のもの二つを通信販売で購入してみた。
用土は、ブルーベリーと同じものを使って鉢植えしてみた。
そしたら、これがろくに育たない。
栄養不足のようだ。

 あきらめて、ブルーベリーの株間に露地植えておいたら、昨年はろくに繁茂しなかったが、今年(二〇〇四年)はなかなか良く茂りだした。
果実は?。
もっと成ってほしいが、二個だけ成った!。

 コンビニでケーキ買ってイチゴを取り除いて、このクサイチゴ果実を載っけてオレ流ラズベリーケーキの写真撮影、といきたかったが、オレの手抜きにより、実現せず。

 味は?。
タネをプチプチと感じて、なかなか甘味あって、うまかったと答えておこう。

ラズベリーケーキを追う いったん終わり

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