天の川とラズベリー
 避暑を兼ねて北の川下りというわけで、二〇〇一年の夏、北海道を再び訪れた。
北海道のさらに北部の天塩川だ。
それがな、なんでこんなに暑いんだあ?。

写真
天塩川のカヌーツーリングに行った
2001年8月10〜14日

 快晴に恵まれたものの日中は暑いのなんのって、川はやや水量不足でカヌーの底がつかえるし、夜になると寒くて震え上がった。
まるで苦行僧の修業に来たようだ。
夕方は陸地で用事があって、それらを終えてテントに帰ろうとしても、真っ暗闇の川辺を一人で歩くのは恐怖であった。
ふと、夜空を見ると、ものすごい数の星が見えた。

 ぎっしりと膨大な星だ。
しかも、北から南にかけて帯がかかったようになってて、それはこまかい星で構成されていた。
これは…天の川だな。
オレは、生まれて初めて天の川をはっきりと見たよ。

 肝心のカヌー川下りの方は、悪戦苦闘くたびれ果てながらも、やっと音威子府(おといねっぷ)の町に到達。
おお、そうだ、川下りはここでいったん中断して、以前から行きたかった頓別(とんべつ)の町に行くことにしよう。
以前、そこで木苺摘みをやって、楽しい思い出を作っていた。
今からちょうど十年前のことだったが、今回の再訪はいかに?。

十年前の木苺摘み

北の大地で木苺探し
 天北線(てんぽくせん)という鉄道が廃線になったので、代わりにバスが運行されている。
そのバスに乗った。
不景気の影響か、山間部で廃れた家屋を見ると、旅行者のオレにとってはブルーな気分になっては「北」という感傷に浸り、街がゴーストタウンになっているほど興味がわいて見るべき価値があるのである。
気楽な観光客の残酷さである。
なお、北欧の別荘のような三角屋根でオシャレな新築家屋が多いのも、本土、じゃなかった内地と違う住宅形式である。

 「高砂橋」と書かれた橋が見えたので、オレは「ここで降りますっ!」と大声を出した。
停留所でなくても自由な場所で乗降してよい、というのが、いかにも北海道のバスらしい(市街地は除く)。
以前にここの橋下でサカナ釣りして大漁だったが、今では川の条件が変化して結局一匹も釣れなかった。
むう、これは仕方ない。

 木苺は?。
かつての収穫場所には木苺がまったく生えていなかったので、歩いて探す。
国道脇の砂利道となっている部分で、散発的に発見!、その周囲を探すと続々と赤い果実が見つかった。
やったね。

写真
北海道 浜頓別町 高砂橋近くにて
2001年8月15日撮影

 木苺のなかでも一般的なナワシロイチゴのようだ。
一般的といっても、今回の旅行では野道を大分歩いたけど、木苺は結局ここでしか見つからなかったので、どこにでも生えている、というわけではないがな。

 なお、エキノコックスという北海道の風土病というか、キツネを媒介とした寄生虫の心配も一応あるので、ジャムにするなどの熱を通してからの方がいいようだ。
結局、オレはナマで食っちまったけどよ。
もっともそういう数少ない症例を気にするよりも、北海道では交通事故の心配をした方が現実的だとオレは思うがな。

写真
大収穫であった
2001年8月15日撮影

 帰りのバスに乗ろうとバス停で待っていると、空襲警報のような「ウウ〜ン」という大音声のサイレンが鳴った。
昼十二時の時報だ。
そういや、今日は太平洋戦争の敗戦の日だっけな。
それに盆だっけ。
※墓参りは旅行から帰ってきてから行った。

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