観光リンゴ園でリンゴの山
 裏磐梯へ紅葉を見るため疾走中、いつもと違うルートで北上してたら、リンゴ狩りの看板がいくつも見え始めた。
リンゴ狩りは一度もやったことがなかったので、やってみたいと前から思ってたんだよなー。
というわけで、急遽決断して、案内板のわき道に進入、誘導の兄ちゃんが旗振ってて、その駐車場に車をとめた。

 赤いリンゴが遠くに見えてるぞ。
受付では「試食のリンゴを食べながら休んで下さい」と言われたが、ちょっと立ち寄ったつもりのオレであるから「すぐリンゴ狩りに行きたい」と言うと、一人のおじさんが案内してくれた。
斜面にリンゴの木がたくさん植えてあって、その中をどんどん歩いていく。

写真
茨城県大子町の黒田りんご園にて
2001年10月27日撮影

 その木で収穫できないのかな?、どこまで、いつまでと思いつつ、おじさんの後を付いていく。
リンゴは、なにしろとても赤い。
緑色の葉っぱに、赤い実がこつぜんと付いているというか、ぎっしり成っているから、やたらと目立つ。
樹に成っている姿はあまりなじみがなかったので、すぐ近くで見ると、木にぶらさがっているのが不思議な感じがした。

赤いリンゴ、白いリンゴ
 ブロロロッと、軽トラックが斜面の道を降りてきた。
荷台には目もくらむような真っ赤なリンゴがぎっしり一杯だ。

写真
軽トラックで輸送中のリンゴの山

 こんな大量のリンゴ、オレは一度に見たことがないので、もうリンゴリンゴの山で、めまいしてきた。
おじさんが道沿いの樹を指しながら「これはフジ、これはジョナゴールド、黄色いのはムツ」
と案内してくれながら、斜面を歩いていく。

写真
陸奥(むつ)と書いてある

 新たな樹を指して「北斗といって、このリンゴはみつが入っていてうまい。これはお勧めだよ」
そうかそうかと思いながら、まだまだ歩いていき、なにしろオレは早くリンゴ狩りしたいので、説明を聞いてても「うわのそら」となりがちで、気がそぞろで仕方がない。

 赤いリンゴといっても、粉ふき型というか白っぽいものもあって、農薬で白っぽくなっているのかもしれんと思ったが、もともと白い粉ふき型のリンゴがあるようだ。
樹が真っ白になるまで農薬をぶっかけてリンゴの果実まで白くくすんだのかと思ったが、リンゴの葉っぱ自体はパステル調で淡い色合いだし、げんにスターキングはこれは他のリンゴと違って、果実がテカテカと濃紅な外観でテカリしている。
フジは白っぽいようだ。

紅葉を見に行こうよリンゴ狩り
 「リンゴの木は千三百本ある。ここは四町歩くらいかな」とおじさんは言う(四町歩=四ヘクタール)。
「ここらは標高が高くてな、長野県と同じぐらいの気温なんだ。温度差が大きいからうまいリンゴができる」
ほう〜、意外だ。
幹が三十センチくらいもあるぶっとい木で、ということは、最近植えられたリンゴではなく、数十年以上前から栽培された歴史あるリンゴ園のようだ。

 おじさんに案内されて長々と歩いたように感じたが、五分くらい歩いたろうか、オレとしては、もう早く収穫したいのだ。
どれだっていいだろー。
リンゴといっても熟期がいろいろで、ちょうど食べ頃の樹を紹介するために、歩いてきたらしい。

写真
これは、フジ、かな? 2001年10月27日撮影

 歩く途中で見てきたフジなどは、どうやらまだ収穫期になっていないようだ。
「これ、これうまいよ。うまいのはだな、それ、それがうまい。」
樹の上部に成っているものの方が、日がよく当たってうまいという。

 三脚ハシゴを登って採っていいと言われて、ようやく、初めてのリンゴ狩り開始だ!。
わーい。
おじさんが、それがいい、とかリンゴを指して言うが、どれが良くて悪いのかオレにはさっぱり推測がつかない。
どれも同じに見える。

 とにかく指示どうりに、そして、リンゴのもぎ方というのも教えてもらっていたのだが、ブチッと、ああ、花芽ごと、葉っぱごとちぎりとってしまった。
木の芽ごとむしってしまったわけで、来年もそこに実が成る予定の芽だったから、ヘマである。

リンゴの森
 赤くて大きなリンゴがぎっしり成ってて、パステル調のあわい緑の葉っぱ、というのが周りじゅうこれらの木で一杯だから、だいぶ異感覚の樹林で、西欧っぽい感じだ。
白雪姫が食べたのは、小人が住む森の山小屋で、魔法使いのばあさんがくれた毒リンゴたっけ?。

 せっせと収穫して、味見しようと思っていたら、おじさんが言うには、リンゴは園内で食べないようにしてください、とのこと。
え、果物狩りで、園内で食味禁止というのは、オレとしては初めてのことなので、ちょっと驚いたが、あー、だからさっき試食しててください、と言われてたわけね。

 たぶん推測だが、リンゴは一個食べるだけでもすぐ腹いっぱいになって、食べカスのリンゴを園内で捨てられて困るからだろう。
あと、まあ、オレは観光紹介記事を書いているわけではないので言ってしまえば、リンゴの表面には農薬がかかっているわけで、現に粉ふきとは言いがたいような農薬みたいな粉まみれのリンゴがあるので、皮ごとかじらない方がいいのだろう。

 リンゴをもぎ取り始めると、あれもこれもと次々に収穫したくなり、「ちょっとリンゴ園に立ち寄った」つもりが、予定時間を大幅に超えてしまい、あっけないくらいに収穫できた。
ハハハ、満足、やったね。

 で、お支払いは二千円以上だったか、ウッ、ビビッた。
お店ではこんなに多量にリンゴを購入したり、何千円も払ったことは今までなかったので、気持ちのいい時間は早く感じるものだとか、かんとか考えて、オレはそれから紅葉の裏磐梯へと向かったのだった。

写真写真
紅葉の写真は裏磐梯の湖からカヌーに乗って撮影した。中央にかすむ双峰の山が磐梯山。2001年10月27日撮影
次の写真は、別のリンゴ園で別の日に買ったアルプス乙女リンゴ。ピンポン玉ぐらいのリンゴだ。2001年11月18日撮影

作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
▲目次へ戻る