北限のミカン山へいざ行かん
 栃木県にミカン園がある?。
しかも山中にあって、んな馬鹿な、ミカン園は温暖な海岸沿いにあるもんだぜ、と思いつつも、ネットで検索したら確かにあった。
うぐう〜、とても近くじゃねえか!。

 近所なのに、なんで知らなかったんだあ?。
そこは栃木県、こっちは茨城県、で、県単位で情報が区切られているから、その悪影響じゃねーか。
だから、近くでもわからなかった、わけだ。
まったく、しょうがねえ、とぶつくさ思いながらも、そこに出発することにした。

 が、もう午後の三時過ぎなので、今日は下見だけだ。
道がよくわからないのだ。
それでもクルマで突き進んでいって、このへんか、まだか、と思いつつも、場所をよく調べておかなかったのが災いして、どこへ行けばいいのかわからなくなって、山間の雑貨屋で商品を買いながら教えてもらう。

 確かにミカン園は今もあるようだ。
細い山道を延々と登る。
古ぼけたミカン園の案内看板があったが、この古臭さが盛況ではないことをうかがわせる。
なーに、いいんさ。
ミカンの価格低迷はもうだいぶ長い年月が経っている。
仕方あるまい。

 それにこの山道だ。
客がわざわざ来るんか?、と思いつつ、夕闇せまる道をブウブウと車を登らせる。
峠を超えて、このへんかな?、おお、あったあった!、なんかイマイチ野暮ったいが,ミカン園があるじゃないか!。
夕方は暗く見えるからいかんな。
やっぱり、真昼にくるべし、と痛感する。
写真
山また山の奥にミカン園ありけり 栃木県 烏山町 国見にて
2001年11月4日撮影

山の斜面のミカン園
 関東平野育ち?のオレから見れば、山のこんな急斜面に住んでいること自体が驚きだ。
うむう〜、景観は山また山の斜面で、ミカン園も斜面だ。
今日は見るだけのつもりだけだったが、やっぱりミカンの摘み取りをやっていこうっと。

 ミカン園のノボリの旗はたくさんあったが、入り口で受付をしていない所が多いので、営業しているかどうかよくわからないなあ。
でも、さっき主要道路沿いで、天幕を張って営業の受け付けをしているところが一カ所だけあって、他の客もいたので、そこに入ることにしようっと。

 道路わきの少しのスペースに車をとめて、受付のおばちゃんに入園料を払う。
五百円だったかな、安い。
ずんずんと歩くと、ほう〜、ミカンがぎっしりある。

写真
白はテントの天幕。フラッシュで撮影したので手前のミカンは明るく写った。
2001年11月4日撮影

 ふふ、やっぱりミカンはいいもんだなあ。
ミカンが育てにくい地域に育ったオレは、ミカンが樹に成っている光景は、まだまだ珍しいのだ。
さっそく食べてみると、味は酸っぱい。
時期が早いことと、収穫直後は酸っぱいということを知っていたので、こういうものなんだろう。

ミカンを収穫しようぜい!
 でも、まあ、ヨイヨイ。
収穫収穫だ。
ここのミカンは、外観は汚れていたりして冴えない。
しょうがないかな。

 が、なにしろもう夕方だ。
薄暗くなってきているし、この日は気温が冷え込んだこともあって、半ばあわててミカンを収穫しまくって、天幕テントに戻って、園主のおじちゃんとおばちゃんに話をうかがう。

 ミカンを植えてからもう四十年も経つという。
そして、面積は二町歩あるという(二ヘクタール)。
え、そんなにたくさんの面積がある?、ここの園は一反(十アール)ぐらいみたいだが…。
と思っていたら、あちこちに畑が点在しているそうで、「平らなところもある」という。

 わざわざ平らなところ、と言わねばならないのが、斜面の畑であることを痛感してしまった。
「土日以外は全然」とのことで、つまり、平日は客が来ないので、そのときは電話連絡すればミカン狩りができるようだ。
話によると、ここは、茨城県に大変近い場所なので、天気予報は宇都宮よりも水戸の方が当たるという。
茨城県側の隣接する村からもミカン狩りの人が来るという。

 駐車場は?。
何しろ山道の狭い側面にあるので、園の入り口付近は二〜三台しか停められない。
「クルマは、わらび荘の入り口に留めればいい。」
わらび荘という国民宿舎があって、そこの入り口にミカン園と共用?の駐車場があるのが見えた。

 でもまあ、かなりの山間部で、人寄せには苦しい状況に見える。
「わらび荘」というのはどんなところかなと思って、あとで寄ってみた。
そしたら結構多くの車が来ていたので、宿泊客が立ち寄ってミカン園も成り立ってきたのでは?と推測した。

段々田んぼの上で展望ミカン園
 日を改めて、再びミカン園を訪問!。
二〇〇一年十一月十八日のこと。
両親はミカン狩りを今までやったことがないだろうから、一応紅葉の季節なので、連れてきた。

写真
ここは見晴しがいい
2001年11月18日撮影

「ミカンって成るんだなあ、うちでも植えよう。」と親としては、まあ一般的な反応といえるが、そういや、自分の庭に温州ミカンは今まで一度も植えたことがなかったな。
ミカンと混じって、小型で扁平な果実のユズがあった。
もしや、と思って収穫して、帰ってから切ったら、やはりタネ無しの多田錦(ただにしき)というユズだった。

写真
左は普通のユズ。右がタネ無しの多田錦
2001年11月30日撮影

 よーし!、ミカンも多田錦も、収穫できることがわかってラッキー!。
ここ栃木県烏山町の国見は、急斜面の地形だが、ミカン以外にも名所?があって、段々田んぼが日本の棚田百選に選ばれたそうな。
なんだか、現代では何が幸いするのか、よくわからん。

日本の棚田100選
(説明)関東地方の棚田で選ばれたのはたった三カ所だけで、他は千葉県の一カ所だけ。
栃木県の国見と石畑の二カ所は距離的に近く、どっちかというと石畑の方が見学や駐車にも便利。
(2002年4月21日時点のURL)

農済栃木による北限ミカン記事

作者を誉めるメールを送ってくれえ〜!
▲目次へ戻る