春はあけぼのクレソン
 春ってあけぼのっ!。
東の空が明るくなってくる様子がいいのよねー。
夜明け前に早起きして、モヤがうっすらとかかった光景がチョー素敵っ!。

 古典「枕草子」は学校で習ったが、すっかり忘れてしまって、冒頭の部分の現代口語訳?しか覚えていないがな。
※高校参考書「桃尻語訳 枕草子」一九八八年ごろ発行の内容から。しかし記憶は自信なくて、多少脚色あり。

※原文「春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明りて、紫だちたる雲の、細くたなびきたる。」



 さて、四月ごろは果樹の収穫はぜ〜んぜん無い。
ので、クレソン登場!だ。
クレソンというのは、最初はまったく知らなくて、本に載っていたから知った。
本の著者が東京でステーキを食べたら、クレソンが付いていて、これがうまかったそうだ。
クレソンはピリッとした辛味のある野菜で、焼き肉と相性がいいらしい。
子供にも好評の味だったという。

 スーパーマーケットにもクレソンは売られていて、著者は冷蔵庫にしまっておいたそうだ。
そしたら、後日、茎から白い根が生え出していたという。
つまり簡単に殖やせる植物で、クレソンは湧水地や田んぼのわきの用水路でよく育つそうだ。

 で、オレも買ってきたというわけだ。
屋外の水道わきに植えたが、そこでは結局あまり長続きしなかった。
近所の「滝」のそばに植えておいたのは、絶えもせずに、多少生い茂ってきたのを確認した。

 近所の滝というのは正式名「ふるさとの滝」で、フルサトノタキと言うのは口に出すのも恥ずかしいのでこの呼び方は全くしていないが、竹下首相のころ「ふるさと創世資金」が各町村に配付されて、このお金の一部が使われたので、こんな名前になったとでもいおうか。

写真
中央上の穴ぼこから流れ出して、タキ?となってる
2001年5月5日撮影

 毎秒一リットル、落差一メートルの零細でローカル的な滝だ。
オレんちの実家から歩いて五分、という近距離にあるのが一番の取り柄かな。
半洞窟(奥行き一メートル)から、水が湧き出して岩盤から落ち込んでいるという光景で、小さいながらも結構良い雰囲気だとオレ個人は思っている。

さわやかアウトドアライフ
 クレソンを植えてからもう十年ぐらいになる。
味はどうだったか?。
クレソンは全滅もせず、かといって、大繁殖もせず、多少の茂り具合であった。

 味覚は、春の時期が一番うまいようで、オレとしても寒い冬が終わって気分ウキウキしていたので、卓上ガスコンロを買って、二〇〇一年四月七日に「滝」へと向かったのだった。
実家で長靴を履いてから、滝のわきでクレソンを摘んでみた。

写真
クレソンの葉っぱ
2001年5月5日撮影

 そしてナベに入れて、コンビニで買ったミネラルウォーターとチキンラーメンを入れて煮た。
煮てたら、細かいゴミや小さな虫が一匹浮いてきて気になったのは、オレも普段はお店の野菜ばかり食べているからだろう。
ハシを忘れたことに気づいて、近くの細い竹で代用する。
五分後完成!。

 お味は?。
チキンラーメンのダシの味ばかりで、ダシの味が強すぎたようだ。
クレソンは「草」の歯ごたえしかわからんかった。
本来ならピリッとした辛さも感じるはずだが、ちょっとしかわからん。

 デジカメも持ってきたので撮影して、この文章の入力もノートパソコンで景色を見ながら行う。
撮影してもデジカメのUSBコードを忘れたり、ナベを手に持ってラーメンを食っている姿は、どうも…全体的にチグハグで、まあ、経験不足のせいかな。
野外食事を「キメル」ためには、ある程度の回数と熟練が必要のようだ。

 そうはいっても、さわやかアウトドアライフの山菜摘み、クッキング、モバイル、ア〜ンド、読書!。
我ながら優雅である。
読書の本は「NHKクイズ 日本人の質問2」(小学館文庫)で、オレのキウイの写真が載って著者から本が贈られてきたので、喜んで読ませていただいた(※ありがとうございます)。

春の小川はさらさら行くよ
 滝には、滝つぼというか池がある。
人工的に作られたもので、広さは二坪ほど。
最初は鯉が入れられていたが、食べられてしまったのか、今はいない。
この水辺にクレソンを植えたが、野生のサカナを入れたいな、と思う。

 オレには夢がある。
小さくても清らかな流れがあって、サカナがいて、短い竿で釣って遊ぶのだ。
水際にはクレソンが生えていて、川岸のヤブはキイチゴやブラックベリーだらけだ。
おまけに周囲の雑木林は、タラノキ、ブルーベリー、クリ、ヤマブドウ、キウイなど食べられる木ばっかりだ。
という夢だ。

 釣ったサカナは塩焼きにして、採ったクレソンを添える。
デザートは、ベリーが付いた甘いケーキを食べる。
この夢、やってみようじゃないか!。
※願望はどうも食べることばっかりである。

菜の花畑でつかまえて
 とりあえず最初は、サカナをゲットだ。
近所の小河川に行って、竿を振った。
黄色いウキがゆっくりと流れていく。
川岸にはアブラナの黄色い花が咲いていて、雑草もあざやかな緑色でキレイだ。

写真 写真
撮影の事情により、月日、場所が少々違うので、ちょっとヤラセでもある。
2001年5月5日撮影

 雑草の背丈もまだ低いので川岸も歩きやすく、暑からず寒からず、小さな川の中を長靴で歩くとサカナが見えて、ちょっと大げさに言えば唱歌「春の小川」のイメージそのままだ。
他には誰もいなかったので、この空間、オレ一人だけの独占使用だ。

サカナをゲット!
 と、ブルブルと竿に刺激がきた。
魚がかかったのだ!。
慎重にゆっくりと引き寄せる。
逃がさないように陸地に揚げて、確実に捕まえた。
赤や青の淡い模様があるオイカワという小魚だ。

写真
川魚にしては、派手な外観の魚が釣れることもある。オイカワのオス
2001年6月17日撮影

 水質の良い川のものは白焼きにしたり空揚げにするとウマイらしい。
で、オレはこの後、塩焼きにしてフルーツケーキを食べたかというと、あいにくここのはナマ臭いので(これが現実だ)、夢どうりではないがな。
サカナは「滝」の滝つぼというか池に放しておいた。

 サカナを捕るのも果物を収穫するのも同じよーなモンだとオレは思っているが、生き物をゲットすることはアクティブでコーフン的であるが、欠点は不安定でムラがあることだ。
狩猟と農耕の特性の違いだろーか。

自分で摘んで釣って野外朝食
 五月の連休中に、野外で朝食をしよう、と思って早起きして出発した(西暦二〇〇一年五月五日)。
クレソンを摘んで、サカナを釣って、ミソ汁朝食にしようという計画だ。
連休中は、田植えのため川の水が取水されて減るし、田の泥水も排水されて濁るが、川の水が澄んでいる場所が部分的にあったので、そこに出かけることにした。

 ねらうサカナは、カワヨシノボリといって体長五センチほどだ。
ハゼみたいな外観で、別の地域の方言名では「ゴリ」といい、「ごり押し」の語源となっているといえば、なじみがあると思う。
早朝は、まだ寒い。
厚着をして、出発した。
まずは、オレんちの近所の湧水地に到着し、クレソンを摘んだ。

 つづいて目的地の川辺に行き、澄んだ水を見ながら、さっそく釣りを開始だ。
もうワクワクしてしまって、しょうがない。
川底を探してヨシノボリを発見!、アタマにエサを誘導していく。
と、パクッと食いつくはずだが、そっぽを向いた。

 かつて(十年以上前)やったときは簡単に釣れたが、今日はオレの知識を全力投球しても大苦戦だ。
五月上旬でまだ水温が低いからかな。
何度も仕掛けを送り込んで、大きめのヤツの頭にエサを置いた。
と、今度は、ぱくっと食いついた。

 口の中にエサが入って隠れるまで見て、釣り針を飲み込ませる覚悟で時間をちょっとおいて、竿をピンと上げた。
と、ブルブルと釣れて上がってきた。
やったぜ!。

写真
釣れたカワヨシノボリ
2001年5月5日撮影

 だいぶ苦戦したが、釜ゆでにしちゃる。
ヨシノボリは十匹釣る予定だったが、釣れたのは二匹だけ。
とりあえず、摘んだクレソンと一緒にナベに入れた。

野外で朝食アウトドアライフ
 いよいよ朝食の調理だ。
下からガスコンロであぶる。
熱い水になってきて、サカナがバタバタと狂ったように泳ぎだして、生きたまま茹でられるのを見て楽しんでいると(サド的娯楽?)、ヨシノボリ君はあっけなく静かになってしまった。

写真
ナベ右側の白いのは豆腐でなくてネギ。緑色はクレソン
ナベの上側で少し黒く写っているのは釣れたヨシノボリ
2001年5月5日撮影

 サカナにしっかり熱が通るように、火の時間を長めにかけて、完成。
明るい日差しの中、持ってきたゴハン、缶コーヒー、今作ったみそ汁、で、朝食をとる。
いい場所である。
肝心のサカナは煮られて壮絶な顔して白目むいてるし、ちょっと怖かったが、まあ、それなりの味であった。

 自分で採ったクレソン、野外の食事、自分で釣った魚、など、ウマイと感じる条件が揃っていたが、どうしたことであろーか、味の点でややイマイチ君である。
たぶん、普段の生活が豊かで旨すぎる?ためだろーか。
まあ〜、自分で作ったことだし、ウデのせいか食材のせいか、あまりこだわらないことにしよう。

 さて、アウトドアに良い季節だと思うが、最近重症な問題があって、オレが朝食をとった場所の下流では良い河原があって車が入れる場所があるのだが、そこでは前日に大勢人が来ていたが、翌日の朝見たらウッ!とするくらいにゴミが多数捨てられていて悪夢を見ているようであった。
あと、野グソの仕方なんだが、そのまま放置せずに、地面を掘ってだな、ンコしたら、ちり紙ごと一緒に「土をかぶせる」ようにすれば問題ない。

※追記:クレソンなどの外来植物を、日本の自然環境に人為的に移植するのはあんまりよいコトではないがな。

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