トゥモウロゥ〜トウモロコシ
 英語の tomorrow(明日)をもじって題名を付けてみた。
トウモロコシは果物じゃないけど、オレは甘党だからな、こいつはどうかな〜っと。
栽培は、簡単とも難しいとも、虫害が多くてカラスにも食われやすいとか、よくわからんが比較的には簡単らしい。

 トウモロコシの中でも、アストロバンタムという品種は、包皮というかトウモロコシを覆っている皮がしっかりしているので、虫の害もカラスの害も少ないという。
これなら有望そうだ。
だんだんその気になってきたぞ。
試しに栽培してみようじゃないか!。

 タネ売り場をチェックしたら、アストロバンタムはどこを探しても見つからなかった。
仕方ないな。
ハニーバンタムとかかんとかの数多くのタネ袋の裏面をチェックしたら、包皮が丈夫で虫の害が少ないという触れ込みのものがあったので、これを買うことにした。

 畑にタネまきゃ♪、カラスがほじくる〜〜♪
という歌があった気がするが、これは本当のことらしい。
カラスだけでなく、ハトも食うらしい。
大豆もそうだが、キャップをかぶせることにした。

ワン公登場
 二〇〇〇年五月の連休前、ウキウキ気分で、アパート前の貸し(借り)菜園というか家庭菜園を見に行ったら、またしても犬がほじくりかえした跡がある。
ペットボトル改造の発芽キャップを蹴散らされて、穴を掘られたり、何やらひどく荒らされている!。
発芽キャップは、トリによるタネ食害の防止および苗の保温用のために、オレが手作りして畑に設置しておいたものだ。

 畑にヘンなモノがあったので、犬が珍しがって遊んだらしい。
過去にもイチゴの苗を踏んづけられたり、犬の足跡がベタベタ残っていたことはあったが、今回は特にひどかったのでオレは怒り心頭に達し、アタマにくることはなはだしい。

 子供のころ、他人の畑に「トラバサミ」がおいてあって、強力そうなバネとギザギザの刃で、恐怖の小道具だっけなー。
エモノがかかっていたり動物の足首がチョン切れて残っていたことは、一度もなかったが、キツネだかタヌキだか野良犬だか、農家が被害防止に仕掛ける気持ちもよ〜く実感できた。

 犬のウンコがオレの家庭菜園に残されていたり、ナスにションベンでもかかっていたら、まあ〜、マジギレして本気で何か報復措置をとるところだが、人格円満?なオレであるから、畑をとりあえず元に直しておいた。
さて、振り返ると、野菜というのは、果樹と比べるといちいち軟弱なことが多いと思うね。
タネの芽生えは、あまりにも弱い存在であるから、ちょっとしたことで大ダメージを受けてしまう。

新たなる旅立ち
 トウモロコシは、家庭栽培用としては五月から七月まで、いつ蒔いてもいいらしいので、何度でもやりなおせる。
といいつつも、そのころアパートの菜園には、オレはあれこれといろんな野菜を植えすぎてしまった。
過密植で、ついまた、やってしまった。

 トウモロコシの割り当て面積は少なくなってしまって、考えると、植えられるのは結局五、六本ぐらいということが判明した。
トウモロコシは、風で花粉が受粉して、お互いの株で受粉しあうから、数をまとめて栽培しなけりゃならない。
う〜ん、このままじゃ良くないな。

 アパートの家庭菜園は他の野菜向けに割り当てることにして、トウモロコシは埋めて、撤回!。
オレの実家の庭と畑で、トウモロコシを育て直すことにした。
ワン公の件はどうなるかって?、知らん。

 実家に行って、左手にタネ袋、右手に小型のスコップを持って、庭をウロウロ。
ちょっと場所を見つけては、スコップの先でちょっとほじって、タネを埋めまくった。
安直だが、よ〜し、これで終わり!。
実家の庭であるから、管理は親に任せて、オレはあとは何もしなかった。
こんな安直栽培うまくいくんか?。

 ニョキニョキと伸びだしたトウモロコシは、イネ科の雑草と見た目は似ているが、ある程度大きく育つと、茎が太いので見分けがついた。
日陰や、庭の堅い土のところ(栄養分なさそう)は、さすがに発育不調だ。
だが、何十個もタネを埋めておいたので、三分の一くらいはなかなか順調に育っているようだ。
残りは、三分の一貧弱、三分の一消滅。

一本につき一個
 トウモロコシは、一本につき、二個ぐらい実がついた。
本によると、片方をちぎり捨てて、一個だけにして充実して育てるという。
ちぎり取った実には、極小未熟トウモロコシが入っていた。

 お菓子の「とんがりコーン」に似てる、と思った。
ベビーコーンといって野菜食材になって、調理すればちゃんと食べられる。
オレはその場でナマでかじったら、なかなかうまかった。
たくさん食った場合は、ハラがどうなるか知らんがな。

 だがこの時期は、なにしろ、もう暑い!。
摘果という、めんどくさい作業が嫌になって、実際やらないことが多くなって、これは後日に結果を知ることになる。
皮付きトウモロコシは、先端から毛が生えているが、茶色になったら収穫適期だ。
むしって、ゆでるとハイ、できあがり。

 予想外に順調にできてうれしい。
収穫直後のトウモロコシは、スーパーのお店で買ってきたものとは「甘さ」が全然違うということになっている。
オレのトウモロコシは断然うまいはず、と思っていた。
が、先入観が強すぎたためか、自宅のものと店頭の販売トウモロコシの味の差は、あまりなかったな。

 最近の販売流通の高速さ、恐るべし。
プロの農家もやっぱすごい。
オレの初トウモロコシ栽培の問題は、日あたり不十分と栄養不足かな、でも、ま、それなりにうまい。
バキバキッと、幹からトウモロコシをへし折るように外して、室内の台所に向かうときは、ワクワクしてとっても楽しい。

実を持って知ったこと
 肥料もやらず、日当たりも充分確保しなかったため、トウモロコシは中身の粒も不揃いとなってしまったものが、かなりあった。
ちょっと栄養不足だったかもしれん。
やや貧相で見栄え悪いが、全体的にはまあまあで、大きな問題点はなくバリバリ食わせてもろーた。
 
 実が二つ付いたものは、中身が発育不良で、明らかに二つとも使い物にならず。
仕方なくそのまま発育を待っていると、充分に成長せず変な成熟となった。
茎に付く実は、やっぱり一本だけにしなければならない、というわけだ。
身(実)をもって知る、とはこのことか。

 それにしても西暦二〇〇〇年の夏は暑すぎたのなんのって、暑いときにわざわざ熱い茹でトウモロコシを食うのは、だんだん面倒くさくなって管理がズボラ化した。
と、畑のトウモロコシは、カラスが味を憶えたようで、次々に食われ始めた。
害虫も発生開始!。
包皮をひんむくと、イモムシが大慌てで走り出す有り様。

 庭に植えたトウモロコシは、カラスの被害は無かったが、離れた畑は管理しきれなくて、親が糸を張ったが(防鳥用の糸で、鳥が警戒するという)、張った本数が少なかったためか効果は全くなし。
トウモロコシの発育も止まってきたので、お盆くらいまでをもって、収穫は終了となった。

 な〜に「明日は来るよ、黄実のために♪」。
※岡本真夜のヒット曲「TOMORROW」(トゥモウロー)を無理にあてはめた。

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