メロンみたいなマクワウリ
 マクワウリというと、マクワという名前がダサイような気がしたが、実際にはメロンのような味だという。
味は、けっこう甘いらしい。
そもそもマクワウリは何だ?というと、メロンの原種・親戚みたいな存在らしい。

 メロンの栽培となると大変難しいようだが、マクワウリの栽培はずっと簡単だそうで、しかもたくさん収穫できるらしい。
オレとしてはマクワウリで充分だ。
当時(一九八八年または一九八七年)のオレは、果樹はまだほとんど収穫できなかったこともあって、オレはマクワウリを栽培することにした。

 マクワウリのタネは通信販売で買ったと思う。
スイカみたいな模様の「甘露」という品種だったか、黄色のマクワウリ(黄金マクワ?)の二種類を栽培してみた。
無造作に庭にバラまいたタネは、ほとんど発育しなかったが、限定的な場所でちゃんと管理した二本の芽だけは育った。

子ヅル・孫ヅル
 タネ袋の説明文によると、子ヅル・孫ヅルの管理が重要らしい。
まず、タネから芽が伸びて育つ。
この最初に伸びた茎というかツルを、親ヅル、と言うらしい。
ある程度伸びたら、先っぽの芽を摘んでしまう。

 するとそこから先は伸びなくなり、かわりに、わき芽が伸びてくる。
このわき芽を、子ヅルというらしい。
この子ヅルには花が咲く。
咲いた花は、これらは全てオスの花らしい。
で、この子ヅルもある程度伸びたら、子ヅルの先っぽも摘み取ってしまう。

 すると、この子ヅルからも、わき芽が伸びてくる。
このわき芽を、孫ヅルというらしい。
この孫ヅルにも花が咲く。
咲いた花は、これがメスの花らしい。
ここに実が成るというわけだ。
う〜、めんどくさい話だ。

 子ヅル・孫ヅルの話については、スイカ、カボチャなど多くのウリ類に共通する性質らしい。
ただし放っておいても、勝手にツルが育って、勝手に実が成るらしいけどな。

晴天が大事
 でも、オレのマクワウリは育ちが貧弱だったので、不安になったので、先端の芽を摘んで孫ヅルまで出させてみた。
そしたら、ちゃんと小さな実が着いた。

 だが!だ。
その年の夏は、雨ばかり降って、夏だというのに寒い年だった。
成長は無理じゃないかと思うような気候で(失敗の言い訳?)、雨ざらしのままで発育不良のマクワウリができた。

 果実がなかなか育たないので、しんぼうして大きくなるのを待っていたら、ツルや葉っぱが枯れてきた。
しょうがないので、小さい果実を収穫して食べたら、甘いどころかニガかった。
栽培は失敗だった、というわけだ。

 そこで、お店でマクワウリを買ったところ、味は、あっさりしたメロンという感じだった。
大ざっぱなイメージとしては、メロンとキュウリの中間、という感じの味だったな。
これは、夏の果物として、さわやかな味覚だった。

うメーロンおそるべき小玉メロン
 今は昔、今となっては昔の話だが、オレはその後、予備校に行くことになったが、ちゃんと行ったかどうだか自転車でフラフラ、五月下旬だと思うが、市街地で農産物販売の軽トラックを見つけた。
見ると、販売品はメロンぢゃねーか。
値段は?と見ると、小玉のものは何と一個がたったの百円の安さだ。

 なんだか馬鹿安。
二、三個買って、帰りの田舎道で、ガリガリかじってみる。
うごおおおおっっっっ〜。
こ、この味は!、すさまじい糖度、甘さである。
濃縮果汁の原液を食っているかのような(※表現やや大げさ)、ノドがひりひりする甘さで、こんな甘さのものは食ったことがないぞ!。

 ベタベタする手で自転車のハンドルを握って帰ったが、翌日になってもノドが痛かった。
カルピスの原液をたらふく飲んだようなものか。
後日、またメロン販売のトラックを見つけた。
メロンといっても、いろいろあって、ネット模様の小玉型、プリンスメロンのような白い玉型、マクワウリみたいな真っ黄色のメロンもあった。
赤肉のメロンは、当時はまだ一般的では無かった。

 種類をいろいろ選んで三個買う。
ウリみたいな黄色のやつでも、外観はイモっぽくても、中身はメロンで、これまた発狂じみた甘さだ。
うぐぐ、極甘ジュースの強烈濃厚フルーツだ。
うう、すごすぎる!。
たった百円でいいのかなあ。

 それにしても、まだ五月というか六月というか、まだ夏ではないんだぜ。
夏の果物?のメロンが、なぜ、この時期に?。
メロンなどのウリ類は、昼夜の温度差がある地域、季節の方が糖度が高くなるんだそうだ。
日中は光合成をして栄養をためる。
夜は、涼しいと植物も安眠して充分休める。

 夏になって、夜になっても暑いと、植物だって体力を消耗する。
昼間は光合成で栄養をためても、夜は光合成できないから栄養を消費するばかりで、夜の気温も暑いと余計に消耗する。
で、夏のメロンは糖度が高くならないのだそうだ。

 だからメロンは、実際にはハウスで栽培するが、五月ごろの方が昼は暑くても夜は冷えて安眠できて、糖度高くおいしく作りやすいんだそうだ。
スイカはどうか?。
スイカについては、オレはよく知らない。

※上記のメロン販売は一九八八年の五月下旬のころ水戸駅の近くのことで、茨城県の大洋村(一応有名な産地)あたりからきて販売していたらしい。

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