毎年豊作のスグリ(グーズベリー)
 果樹のなかでも「スグリ」について述べてみよう。
スグリって何?、と思っても仕方がない。
オレだって、最初はまったく知らなかったんだから。
近所で植えてあるわけでもない。
オレが知ったのは果樹の本の中でだ。

スグリって何?
 図書館の古い果樹の本に、スイカの超小型みたいな果実が紹介されていたんだ。
直径一〜二センチくらい。
味はスッパイため、「スグリ」の名前がついたらしい。
スグリは、一般的にすっぱい味のものが多いらしいんだ。
しかし本の中では、園芸向きのあまりすっぱくないスグリが紹介されていた。

 スグリというのは、木が小さくて一メートルぐらいの高さにしか育たないという。
そして、日陰にも比較的耐えられるという。
この二点がオレはとても気に入った。

 だってさ、狭いところでも植えられるじゃんか。
オレはそのころ果樹を植えまくっていたから、日当たりのいい場所なんてあまり残っていなかったんだ。
スグリは半日陰の場所でも育つそうだから、ぜひとも入手して植えようと思ったね。
ところで、スグリには、近縁の仲間でフサスグリという果樹もあるので、区別するためここでは今後グーズベリーという名前を使うことにした。

苗の入手は?
 でもグーズベリーの苗木なんて、近所のどこにも売っていなかったんだ。
なにしろ、もともとは冷涼地向きの果樹だそうで、ここらでは一般的ではないからだろうな。
とはいえ、関東地方でも充分育つとのことだったが、やっぱり茨城県ではなじみがなくて、苗木が見つからなかった。
結局オレは困り果ててしまい、本の著者に手紙を出したら、苗木をタダで送ってくれた(ありがとう!)。
いただいたグーズベリーの名前は、ピクスウェルというもの。
果実の直径は一センチくらいの小型で、赤っぽい実が成るタイプだ。
さっそくオレは予定どおり、半日陰の狭い場所に植えといた。

 当時はどうやって苗木を購入すればいいかよくわからなかったが、今となっては園芸の通信販売カタログに載っていることがあるので、ずっと簡単に買えるようになった。

実が成り始めた
 植えて二年目ぐらいからだろうか、意外と早くから実が成りだした。

写真
ピクスウェルの実 1997年7月上旬撮影

熟す様子について、一九九八年度の様子を中心に詳しく述べてみよう。

グーズベリーの収穫 一九九八年版
 春に花が咲いたが、地味で目立たない花だったな。
結実はとても容易で、受粉に関しては問題はほとんど起きたことがない。
グーズベリーは自家受粉するから、二本以上植える必要もない。
まったく楽だ。
受粉した果実は、さっそく順調に成長しはじめた。

写真
まだ未熟の果実 1998年6月上旬撮影

 六月上旬は、まだ緑色の状態だ。
これを食ってもスッパイし、ガサガサしているから、この時点ではまだ食えない。
果実がたくさん成っていて、熟すのはもうすぐあと。
色が赤黒く変わってからだ。

熟したグーズベリー
 一九九八年七月六日にグーズベリーの様子を見に行ったら、熟していた。

写真
熟したピクスウェル 1998年7月6日撮影

 地面にボロボロ落ちていて、成熟期のピークをやや過ぎていたみたいだ。
オレとしては、気付くのがちょっと遅かったな。
オレの経験では、茨城県では例年なら七月収穫がメインになることが多かった。
が、一九九八年度は、いつもの年よりも全体的に早いみたいだった。

 収穫は簡単だが、枝にトゲがあるので、少々注意がいる。
といっても、それほど痛いわけじゃないから、ちょっと注意すれば大丈夫だ。

肝心の味は?
 肝心の味についてだ。
果実は、どうもホコリっぽい外観で、口に放り込むと皮がゴワゴワしているような感じ。
かまわずに口でかむと、中身がジュルッと飛び出してきた。
ん〜、まあ〜、なかなかうまいじゃん。
ビックリするほど美味というわけじゃないが、そこそこイケルと思うぞ。
まあまあの味かな。
ぶどうのデラウェアに似てるが、ワンランク下げたような味だ。

 グーズベリーというのは、スッパイものがとても多いみたいだけど、このピクスウェルは酸味がとても少ない。
もともとこういう品種のようで、毎年、全然すっぱくない。
オレとしては酸っぱいものはやや苦手なので、助かっている。

 栽培をしている本人のオレとしては、「このグーズベリーはウマイのだ」と思い込みつつ食い続けたが、途中でうんざりして食えなくなった。
大分余ってしまったから、やっぱり「まあまあの味」なんだろうな。
単に、オレの舌が贅沢になっただけかもしれん。

毎年豊作のグーズベリー
 ピクスウェルの味はともかく、それよりもなんといっても簡単に超豊作なのがうれしい。
他の木の下で日陰だというのに、鈴なりとはこのことだとばかりに、パチンコ玉みたいなのがた〜くさんぶら下がっているんだ。
毎年じつによく成ってくれるので、とてもありがたい。

 だってさ、家庭で果樹を育てても実がロクにならない場合はゴマンとあるんだぜ。
頭にくらあ。
それにくらべりゃグーズベリーは楽チンで、粗放栽培の上、おまけに半日陰の場所だけど、発育と実付きはすこぶる順調だ。
果樹栽培は、やっぱりこれくらいラクで豊作だとうれしい。
なお、他のグーズベリー品種や地域によっては、簡単じゃないこともあるようで、オレは「ドイツ大玉」という品種も栽培していたが、成長は遅く、一粒も収穫できないまま一九九九年の春に枯れてしまった。

グーズベリーのジャム
 生食の味はともかくとして、あまりにもたくさん成るので、ジャムなどの加工をしたいと考えているところだ。
なにしろピクスウェルというのは、タネは一応あるけど無いも同然で舌に感じないんだ。
果実を集めて、指でつまんで絞り出して、鍋で煮ればいいんじゃねえかなあ。
やったことはねえけど。

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