ユスラウメって何?
 ユスラウメ?、なんだユスラってよ?。
それは梅か?。
変な名前だ、と思いながらも、本の説明を見たら、なになに、柄のないサクランボみたいな果実が成るとか。
果実の写真を見たら、確かにサクランボみたいな果実だ。
だったら、なおさらウメという名前は変じゃんか。
「柄なしサクランボ」とでも名付けりゃいいじゃんか。
なんでユスラウメなんじゃい!。

写真
他の園で収穫したユスラウメ
2002年6月29日撮影

 本をさらに読んだら、梅に似た花が咲くため、〜〜ウメと名付けられたらしい。
花の写真を見ると、ホントに梅の花に似てるなー。
そんで、揺すって実を落とすからユスラウメ、とかかんとかあったが、この説は本当かよ。
うさんくせえ説だと思ったが、とりあえず名前の由来は一応、まあ、わかった。

 別の本によると、かつて昭和初期のころは、ユスラウメの果実は今よりもずっと小さかったらしい。
果肉も薄かったそうだ。
それじゃ、白い花の方が印象的かもしれんな。
風流とか思ったりして。
〜〜ウメと名付けたのも、当時はそれで良かったのかもしれん。
で、戦後になってから、大きな実がなるタイプのものが広まったらしい。
「大実ユスラウメ」という名前で売り出されたそうで、これが現在での普通のユスラウメのことだ。

 でも果実の方が目立つようになると、せめて◯◯◯ベリーという名前を付けてあげたいと思うんだけどなー。
ユスラベリーとか。
うむむ、変かもな。
でもまあ、やっぱり今さらどうでもいいや。

魅力満点ユスラウメ
 本を読むと、ユスラウメというのは家庭果樹として、すっげえ有望らしいことがわかった。
なんといっても木の高さは二メートルぐらいだそうで、それ以上は大きく育たないらしい。
こりゃあ、低い木だ。
庭植えに都合がいいじゃねえか。
春になればウメに似たキレイな花が咲き、六月になればもう収穫開始だ。
赤くておしゃれで、サクランボによく似た果実だそうで、味もサクランボによく似て、うまいらしい。
木は低いので収穫は簡単で、子供がいる家庭ではすぐに全部食べられてしまうという。

 しかも、ユスラウメは一本だけでも成るそうだ。
病虫害にも強いようで、栽培の手入れも簡単だという。
おまけに、赤いユスラウメだけでなく、白実ユスラウメもあって、まっ白の果実が成るというのだ。
赤実と白実の二本を植えれば、紅白の果実が収穫できて、すごく楽しそうだ。

 こりゃあ、魅力満点!、魅力強烈!、オレもぜひ植えたい!。
もう、最優先して植えることにしたね。
なにしろオレが植えた果樹では、ユスラウメが一番最初だったくらいで、オレの果樹栽培はユスラウメから始まったといってもいいからだ。

苗はどこに売っているのか?
 オレもフルーツ栽培だ〜、いっくぜー!。
やる気は満々!。

 まずは苗木を買ってこなくっちゃな。
だが、当時(一九八六年ごろ)、オレの近所ではユスラウメの苗木を見かけなかった。
ユスラウメは、地域によってはよく知られているみたいだけど、オレの住んでいる範囲ではなじみがなかったんだ。
当時オレは、果樹の苗木をそれまで買ったこともなかったし、近所の園芸店さえどこにあるのか知らなかった。
だから、どうやって苗木を買えばいいのかわからず、とても困った。
う〜む、どうすっか。

 が、果樹の本の巻末に、園芸店の紹介文が載っていることがあった。
そこにちょうど、県内の園芸店が紹介されていたんだ。
ラッキー!わかった。
そこに買いに行こう!、と思った。
が、同じ茨城県内とはいえ、距離が片道五十キロメートルぐらいあるんだ。
遠い。

 当時、カネはなくてもヒマはあった時期だから、しゃーねーなー、自転車で行くことにして、サイクリング車(当時、周囲の高校生男児の間ではやっていた)で行って、買ってきた。
片道三〜四時間ぐらいだったかな。
オレが買ったユスラウメは、二本。
赤実ユスラウメと白実ユスラウメだ。
さーて、これで苗木はゲットした。

 苗木を買った年についてだが、高校卒業のころだと思うので、一九八七年(昭和六十二年)の春ごろかな。
自転車による遠征購入は合計数回やって、オレは苦労して苗木を購入したけど、今となっては通信販売で買うこともできるし、近所の大型園芸店でも扱われるようになったから、現在ではずっと簡単に入手できるようになった。

ユスラウメの初結実
 買ってきた二本のユスラウメは、どちらも大きな苗木で、長さは一メートルぐらいあった。
買ってきた時期は初春のころで、芽がもうすぐ伸びそうだったので、オレはさっそく庭に植えることにした。
二本並べて植えることにして、一メートル半ぐらいの間隔をあけて、庭の日当たりの良い場所に植え付けた。

 もう、期待でワクワク。
栽培は簡単だそうで、オレはな〜んの心配もしてしない。
苗木が大きいので、ひょっとしたら、この年から収穫あるかもよ、と思った。
はたして植えて一ヵ月ぐらいで、ウメのような白い花が咲いた。
花は、確かにこりゃあ〜、梅の花そっくりだ。
大きな苗木で良かった。

 で、早くも数個結実した。
あっけないくらいに順調に育って、赤く色づいた。
実の直径は一センチぐらいのサイズだった。
味は、甘味と酸味を感じ、うまかった。
なんだ、栽培は簡単じゃねえか。
本格的な収穫は、次の年からに期待しよう、とオレは思った。

成らねえど!ユスラウメッ
 それがだ、次の年から五年くらいにわたって、枯れるまでの間、収穫ゼロ!だったんだ。
なんでえ〜?。
原因わかんねーよ!。
木は充分繁っているし、ユスラウメは自家受粉するから、花粉のせいでもない。
花はギッシリ咲くけど、ほとんど実が付かねえんだ、これが。
少々付いても、みんな途中で落ちてしまって、熟さねえんだ。

 オレは、もうなにが原因だかわかんなくて、どうにも困り果てた。
ユスラウメの枝はグングン伸びて、半径一メートルくらいに育って、二本の木の枝が少々交差するようになっていた。
枝の交差が原因で日照不足かもしれないとオレは思ったので、少々剪定してみた。
だけど、次の年もやっぱり成らない。

 オレは、お手上げの状態だった。
で、結局ある年、二本とも急に枯れてしまった。
白実ユスラウメは結局一つも収穫できなかった。
なんじゃい、これは!。
こんなはずじゃねえぞ!。

見かけた豊作ユスラウメ
 自宅のユスラウメが枯れた年のころ、オレは群馬県の寮で生活していた。
そのとき寮の庭に、たまたまユスラウメの木があった。
庭というか、駐車場というか、隅のところにユスラウメがあったんだ。

 最初は、木があること自体に気付かなかったが、なにしろ実がぎっしり成り始めたので、オレは気付いた。
オレが植えた木じゃないから、勝手に食うのは良くないことだと思って遠慮していたんだが、どんどん熟していくのに収穫されている様子がないので、遠慮しながらも勝手に食わせてもらった。

 ユスラウメは、熟し始めは、赤というかピンクっぽい色だったが、そのまま日がたつと、粒がさらにでかくなって、一センチ以上に大きくなって、濃い赤になって、半透明みたいになってきた。
わりと日持ちするようで、長い期間にわたって、ちょいちょい食べさせてもらった。
味はうまかった。

写真
ゆすら梅

 それにしても、果樹の本をさんざん読んだオレがユスラウメの栽培はうまくいかずに、一方、寮の半ば放任状態のユスラウメは豊作ということが、オレとしては悔しい。
なんでだあー?。
ユスラウメの知識に関しては、オレの方がずっと豊富のはずなんだぞー。
こんなバナナ!(こんな馬鹿な!、の替え言葉で、昔ちょっとはやった流行語)。

畑で栽培再開、ゴー!
 一方、オレのユスラウメ栽培だが、枯れた木は仕方ねえ。
やりなおしじゃい!。
前回のオレのユスラウメ栽培は、少々狭苦しい場所で、重なり合わないように剪定したから実がならなかったのかも、とオレは考えた。

 そこで、今度は広さにちょっと余裕がある畑に植えることにした。
植えた年は、寮のユスラウメを見た後のはずだから、一九九三年(平成五年)のころかな。
赤と白を一本ずつ買って、畑に植えておいた。

 さーて、畑での新たな栽培についてだ。
赤実ユスラウメは順調に発育していった、かに見えた。
しかしどうもオレの思うように木の形がうまく伸びない。
ちょうど根元の方から伸びてきた強い新芽があったので、これを幹として伸ばすことにした。

 その後は、よく伸びた。
だが、問題なことに花が全然咲かないでやんの。
なぜだ〜?。
心配なこととして、根元からの新芽を伸ばしたので、「台木」から伸びた可能性があった。

つづく

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