剪定のおはなし
 いよいよ「剪定」つまり「枝切り」の話だ。
が、作業がめんどくせーというか、オレの果樹栽培では収穫の次に面倒な作業だ。
収穫だったら楽しいんだが、剪定じゃねえ〜。
でも、冬の果樹栽培はヒマだから、オレがやることといったらこれくらいしかないけどな。

 ただし、面倒な剪定といっても、春までにやりゃあいいんだから、気楽なもんさ。
というのは落葉している間に切ればいいからで、十二月から三月まで、こんなに期間があるんだから、気がすすまねえ剪定作業といえども、やれる日はあるからな。

 おっと、だいぶ、前振りの話が長くなっちまった。
さっそく、剪定の具体的な話にうつってみよう。

 オレが剪定で、常に気をつけているのが、「主幹形にすること」だ。
これさえ知っていれば、剪定なんか楽チンだから、めちゃくちゃに枝が伸びまくっていようと、どこを切ればいいのかすんなりとわかってしまう。

 主幹形というのは、杉の木みたいな形のこと。
といっても、果樹は杉やクリスマスツリーのような形には伸びにくいから、実際にはひし形とか丸形になってしまうことが多いけどな。

剪定の要点
 中心の幹となるべき部分があって、杉みたいにまっすぐでなくてもいい。
曲がっていてもいいから、中心線となる枝をまず決める。
カリンとか柿は決めやすいが、梅はぐにゃぐにゃ曲がって伸びやすい。
おっと、イラスト入れねえと、わかりづらいからな。

イラスト

 第一、まっすぐ伸ばせようとしても伸びねえんだから、大体の形で「中心線としての幹」を決めるわけだ。
で、あとの他の枝は、放射線状に外側へ広がっていくように切り整える。
これでOKだ!。

 とくに内向枝は、オレは徹底的に切ってしまう。
といっても、主幹形にしとけば、もともと内向枝はあまり伸びないけどな。
内向枝というのはこんな形だ。

イラスト

 そういう内側向きの枝は、全て切ってしまう。
主幹形にするというのは、柿でも梅でもブルーベリーでも、キウイでさえもこれに準じて、オレはやっているんだ。
これの効果だが、オレの経験では大変ラクだ。
虫もつきにくいし、枝は混乱せずに伸びてくれるし、毎年の剪定そのものも少ない作業量で済む。

開心自然型にはしない
 開心型だったか、これは梅ではよく行われている切り方だけど、そもそも開心型というか、こういう開いた形の樹、というか平べったくする樹の形というのは、管理しやすくするためのものなんだ。

イラスト

 平べったく開いた木の形の方が、実が成り出すのが早いとか、一定の品質の果実がとれやすいとか、そういう理由もあるけど、なんといっても、農薬をかけたり、果実の数を調節したり、手で丁寧に収穫するとか、そういう細かい管理をするためには、木が高いとやりづらいからだ。

 木が高すぎると、ハシゴに乗っても手が届かなくなるからな。
木の高さを低くして、枝先まで手が届くようにした方が、作業しやすいからね。
オレの近所では梅がよく栽培されているけど、梅というのは、この開いた形に剪定してあるのを大変よく見かける。
だけど、キレイに整えていられるのは、木が小さいうちで、最初の五年ぐらい、だな。

 そのうち木そのものがでっかくなると、木の上の方は枝が交差してしまう。
三脚とか使えば、枝に手がまだ届くけど、一般家庭で丁寧な剪定を行うのはしんどい作業だ。
つまり、結局ごちゃごちゃ伸びて枝が交差してしまい、毛虫が発生してしまう。

収穫と食うだけ
 でもオレの場合、主幹形栽培では枝が交差することはあまりない。
だから、毛虫の殺虫用に農薬を撒くことは、オレは今までやったことがない。
論より証拠で、今まで毛虫の被害だって、オレはほとんど経験がない。

 主幹形栽培では、木が高くなるから細かい作業管理はやりにくいが、人工受粉とか、摘果とか、袋掛けとか、農薬散布とか、いろいろあるだろうけど、な〜に、めんどくせえんだよ!、そういうことは!。
オレはやりたかねえーな。

 やるのは収穫だけ。
そして食うだけ。
こうでなくちゃな。

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