ビワを植えると不幸があるから切れだと!
 ビワは美味だし、オレは好きだし、そもそも庭に果物植えて楽しみを味わいたところに、切れだの不幸だの言われるとハラが立つ。
不幸になるって?。
不幸になる成分がビワに含まれているのかよ?。

 ふーん、だったら、オレ、その成分を抽出してみたいぞ!。
不幸になる成分とやらを、精製して、結晶化してみようじゃないか。
結晶化して、いったい何に使うんだ?、と聞かれても困るが。

 オレは最近、自分の部屋が散らかり過ぎて、睡眠中に地震があると顔面にモノが崩れ落ちてきそうなので、防ぐために北枕にして寝ているくらいだ。
東西南北、上下左右、どっちに向けても同じだろーよ!。
でも、下向きにしたら、頭に血がのぼってしまうが。

 さてさて、そんな信心深さが足りないオレが植えているビワであるが、成り出してから数年間は立派なものが採れたよ。
豊作でさ。
だがな、困ったことに、その後、だんだん採れなくなってきた。
数は減るし、第一、果実の発育も不十分で、ヘンな外観になってきた。

写真
果実表面に黒いアザや凹みができるようになった
2009年6月19日撮影

 たたりじゃ〜!、たたりじゃ〜!。
ビワの祟りじゃあ〜。
って、そんなワケねえだろが!。
祟りなら、祟りの成分を精製して結晶化してやるぞゴラァ!。

 ビワは真冬に花が咲くから、花や幼果が寒さにやられて損傷を受けたのだろう。
そう考えれば、納得のいくことなので、オレは特に対策をとらなかった。
寒害の年もあるが、来年以降はそうでない年もあるだろうよ。

 でもな!。
どうしたわけか、その後、毎年のように果実の不良化が多くなってきた。
おかしいなあ。
木は見上げるように、でっかく育っている。

 うーん、他の果樹と密植しすぎているので、ビワの木も大きく伸びたことだし、日照不足による発育不良かなあ。
それに、木のてっぺんの方に成ったビワは、高い位置に成りすぎて、収穫の伸縮ハサミを使っても、うまく採れなくなっていた。

 うーん、困った。
ちょうどそのころのことだった。
長いこと求めていた、ビワ品種の苗「大房」が、売られているのを発見!。
茨城農園という所だが、オレはめでたく入手することができたのだった。

写真
大房の苗は2本買ったが、草刈りの時に間違えて1本は雑草ごと粉砕してしまった
2009年9月21日撮影

 ビワ品種の「大房」は、品種特性として、開花がひときわ遅く、真冬ではなくて春先に咲くので、寒害を受けにくい、という特長がある。
でも、以前は苗木を入手しづらかったので、仕方なくオレは、耐寒性が比較的には良い「田中」を栽培していた。

 なにしろ、オレの地域でビワを栽培するのは、北限に近いので、田中よりも開花がさらに遅くて耐寒性が強い大房が入手できればいいと、常々思っていたのだ。

 という事情があって、めでたくビワの大房の苗木を入手できたのだが、となると新たな問題として、それまであった大木のビワの成りが乏しい上に、不良果が多くなってしまったことが問題となった。
ビワを切れ、とかの迷信のせいではないのだが、えいやっとばかりに、オレは大木のビワの大枝を切り落として、電信柱のような一本棒にしてしまった。

写真
切り詰めた幹から再生してきた
2010年12月30日撮影

 ちょうどキウイの棚の支柱が腐ってしまっていて、新しい柱が欲しかったところなのでな。
ビワを完全に切り倒すのはもったいなかったので、ビワの幹をキウイの支柱にしてしまおうという作戦だ。
というわけで、オレのところでは、ビワは新たな苗木に更新、というわけだ。

 一応、もうひとつ根拠を述べておこう。
たまたま偶然だが、ビワの隣に、グミとマルベリーを植えていた。
グミとマルベリーは、オレはもう何回も植えて、それぞれ三回目くらいになるが、植えてから成り始めて数年間は立派な果実がたくさん採れるが、だんだんグミは果実が凸凹になり、マルベリーは果実が病気で白濁するようになった。

 栽培の管理が悪かったと判断することもできるが、なにしろグミもマルベリーも合わせて述べ六本以上が、成り出しの数年間は良い果実が採れて、その後は果実が不振という共通の現象を示していた。
それに昔の養蚕の桑については、桑の木を植えて、枝を切りながら葉っぱを採り続けても(蚕のための桑の葉は、葉だけ採るのではなく枝ごと切って蚕に与える)、数年間は再生してきた枝を採り続けても、そのあとは株ごと引っこ抜いて、新しい苗木を植えて更新するのだと言う。

 どうやら、ビワも同じ傾向なんじゃねーの?。
成り出して数年は立派な果実が採れたが、その後はだんだん果形が悪くなったという傾向がさ。
しかも木が高く育ちすぎて、収穫も手入れも困難になってきた。
ひょっとして、ビワの木を切れ、という俗説はさ、不幸説はともかくとして、古木でなく新しいビワの苗で育てた方が、美味しいビワが食べられますよ、という親切心からの教えだったのかもしれないな。
2011.1.16 記
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