ゆず、さんさんと
 題は、美空ひばりの「愛燦燦」(あいさんさん)のパロディ。
青木隆治という人のモノマネに感動したので。

その動画

 ところで、うちにあるユズがな、ぎっしり成った。
太陽にさんさんと照らされて、豊作だ。

写真
以前は、綺麗な外観のユズが収穫できたのに、今回は皮の肌荒れがひどめ
2010年11月 撮影

 だが、悩みがある。
せめてなあ〜、このユズがタネ無しの『多田錦』(ただにしき)であったなら、果実ジュースにしても利用しやすいんだが。
なにしろ、果実を切って絞るとなると、タネがごっちゃり入っているんだぜ。

 絞り落ちた果汁にタネが混じり込んでしまうし、ユズジャムにしようと思っても、果実を切ってそのまま煮込むわけにはいかないんだ。
タネが大量に混じっているから。



 せめて、タネ無しでありさえすればなあ。
悔しい。
まったく、苗木を買った当初は「多田錦」で注文したのによ。
果樹の苗木屋が間違えて、普通のユズを送ってきたんだ。

 間違いに気付いたのは、植えてから十年近くも経ってからだ。
ラベルからして多田錦だったので、接ぎ木や穂木の段階で、すでに間違えていたらしい。
苗木屋〜、間違えるなよ〜。

 ともあれ、大量に余ってしまったユズ。
困り果てたので、ふと思いついて、那須のジャム屋に持参した。
ユズジャムにどうだい?、ということで、安価販売で売り込みだ。

写真
温州ミカンの箱に入れた。
10kg入りの箱だから、それ以上の量が収穫できた
2010年11月 撮影

 だが、「タネ無しのユズならいいんだけど」。
と言われてしまったぜい!。
あちゃー。
オレだって、タネ無しがいいと思うがな。

仕方なく接ぎ木で品種更新
 一から苗木を植え直してやり直すなんて、気が重い。
でも仕方ないから、ノロノロと改善策を実施したよ。
ユズって柑橘類にしては、見上げるような大木に育ってしまう。

 そのうえに、そんな大木だとてっぺんの方に成った果実は、棒が届かなくて、収穫しにくい。
そこで多田錦の穂木を接ぎ木しようというわけだ。

 つまりだ、今オレんとこにあるユズを、中間から幹を切っちまった。
根元から切り倒したわけじゃないぜ。
高さ二メートルくらいからだ。

写真
この写真は幹切断ではなく、太い枝を切ったら、幹から新芽が伸びてきたところ
2009年6月1日撮影

 これで、なんとか低い位置で収穫できるし、幹から直接太い枝が再生してきた場合は、その枝に多田錦の枝を接ぎ木しようという作戦だ。
それにしても、長年かけて育てたゆずの木を、半分くらいに大幅に切り詰めてしまうって、なんとも辛い作業だ。
長い年月をかけた自分の行為を否定したかのような気分だぜ。

 そんな憂鬱気分の上に、切り倒したユズの枝はぶっといトゲがたくさんあるものだから、それをハンマーナイフモアで粉砕したら、トゲがタイヤに刺さってパンクした。
おまけに、長靴の靴底をトゲが貫通して痛かった。

写真
切った枝を捨てるときは注意がいる

写真
ユズのトゲは、果樹の中では最も大きく、鋭い方だ
2010年12月20日撮影

 長靴の底に穴があくと、水路などに長靴をはいて入ると、靴下がビショビショになってしまうんだよな〜。
歩くと、ガッポガッポだぜ。
パンク修理代と新しい長靴の購入、を思うと、じつに数千円の出費だし〜。

 大赤字だ。
あーあ。
多田錦だったら、トゲがだいぶ少なく小さいという情報なんだけどなあ。

美空ひばりの歌をムリヤリ果樹パロディ
 ユズの実に、サンサンと太陽の光があたって、冬なのにそこだけが夢のよう。
苗木屋による品種違いという、わずかばかりの運の悪さを、いつまでも不満に思い続けるなんて、まったく悲しいことだ。
でも、過去の出来事たちは、目を細めると懐かしく目の前に浮かび思い出される。

 苦労ばっかりの赤字だというのに、まったく不思議なもんだ。
思いどおりにならない夢を無くしたりして、オレの心は弱いもんだ。
それでも未来達は、豊穣な収穫というものを、無駄に期待させやがる。

 その夢はいつも明るく、嬉しい。
思うように成らないことも多いけど、頑張って育てていれば豊作をもたらすこともある。
苦労の出来事も、良き思い出に変わる。
果樹栽培っていいものだねってね。

 知らず知らずにやってきた果樹栽培の道。
やたらと細く、長い、果樹の付き合い、というこの道は、今になって振り返れば、はるかな思い出に、昔の自分の姿が見える。

 当時は、家庭果樹栽培の実態を記した本は乏しかった。
失敗だらけの栽培記なんて、そんな本もない。
それも現実。
そして、移りゆく季節の中で、ゆるやかに、いくつも時代は過ぎていった。
まるで川の流れのように。

〜終わり〜
なんだかしんみりモードになっちまったよう。
元の歌詞は、美空ひばり「愛燦燦」「川の流れのように」から。
青木隆治という人は尾崎豊のモノマネもやってたので、そのつながりで。
2011.2.3 記
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