成ったけれどもふるわず ユズ編
 ユズがたっぷりと、数多く実った。
子供のころからの夢として、冬でも常緑で、オレンジ色の柑橘類が成っている光景、というのがオレの憧れだった。
オレンジ色の柑橘類が庭に実るなんて・・・・夢のよう。
うっとりして、なんて素晴らしいんだろ、とね。

イラスト

 それがな。
いざ実現したことは、嬉しいといえば、そりゃ嬉しいことではあるが、夢の願望と、実際の実用性、つーのは別モンでもあるということさ。
ユズの果肉というのは、ミカンでいえば、いわゆる食べるところに相当する部分は、ユズはとっても酸っぱい。
ナマで食べるなんてムリムリ。

 というわけで、ミカンでいえば捨てる皮のところが、ユズは利用するところになる。
つまり皮だ。
夏ミカンと違って、ユズの皮の部分には苦味がないというんだが…、ナマでがりがり食うことなんてできねえや!。

 十個や二十個ならなんとかうまく利用することもできようが、何十個、百個以上も果実が成ってしまうと、もうこりゃ、完全に過剰生産をおこしていて、はっきりいって、果実あまっとります。

 マーマレードや、ジャムに加工すればいいんじゃないか、って?。
柚風呂とかさ。
それがな。
ウチでは御飯(コメ)食べてるから、ジャムの消費の出番がなかなかなくてね。
柚風呂も、風呂を焚けば、柚まで煮えて「ぐだぐだ」だよ。
匂いがやや強いので、余っているからって、百個も風呂に入れられるわけねえだろがー!。

ユズの供給過剰
 ユズが余っているというのは、これはオレんちだけの問題じゃあ、ない。
北関東というのは、気温が低いためにミカン類がなかなかうまく栽培できない傾向があって、そのために最も耐寒性が強いユズは、古くからの家ではけっこう植えられている。

 これらのユズは、樹齢何十年だか、高さ四メートルくらいの大木に育って、隔年結果は強いがたくさん成ったりする。
摘果なんかしなくても、それなりの大きさの果実になる。
病虫害の防除なんかしなくても平気だ。

 こうして供給されるユズの果実は、道の駅などで販売されているのだが、やっぱり有り余っているらしく、十個ぐらいたくさん詰め込んだビニール袋が三百円以下で、もう投げ売り状態の有り様。

 あーあ。
ウチは少しでも果実の価値を高めようと、タネ無しの多田錦(ただにしき)という品種を購入した、っていうのに、年月をかけてから実りだしたユズは、タネありの一般種だったし…。
種苗会社はゴラアッ!、品種間違えてんじゃねえぞ!。

写真
左は普通のユズ。右がタネ無しの多田錦
2001年11月30日撮影
2008.12.25 記
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