ブルーベリー園に初訪問
 一九九九年のある日、近所にブルーベリー園があることを知ったので、ラッキー!と喜んで、さっそく行くことにした。
「ブルーベリー春園」といい、茨城県 東茨城郡 常北町 春園(はるその)にあり、大津 満さんという人が経営しているという。
オレと同じ大津姓だが、親戚というわけじゃないんだが、町内ではちょっと多い苗字だ。
同じ大津姓でややこしいので、大津 満さん=大津さん、オレ=大津みつあき、としてみよう。

 経営者の大津 満さん(四十歳)は役場勤めの公務員で、土日にブルーベリーの世話をしているという。
自宅にはブルーベリーの苗木多数と、ピートモスや腐葉土の大きな袋があった。
大津さんのブルーベリー栽培歴そのものは大変長く、もう二十年になるという。

 さっそくブルーベリーの畑を見せてもらった。
元々は水田だったそうで、水田転作としてブルーベリーを植えたという。
水田に土盛りしたうえで、さらに高畝にして、整然と植えてあった。
面積は約一反だ。
「反」って何だ?、と以前に思ったことがあるので説明すると、約十アールで約三百坪だ。

 植えてあるのはハイブッシュ系ブルーベリーが中心だ。
平均樹齢は、約六年といったところか。
ブルーベリーの根元にはオガクズやワラなどが大量に施してあり、灌水パイプもあって本格的だ。
雑草はほとんどなく、きちんと整然としていて、栽培が非常にうまい。

 大津さんの話によると、ハイブッシュの根はピートモスなどの有機物を施したところにしか伸びないという。
ウソーッと思ったが、根っこを見せていただいたところ、オガクズのところは根が伸びていたが、その先の地面になると根はパッタリ止まって伸びていない。
ハイブッシュは、限定された狭い範囲にしか根が張っていないことがわかった。

 ハイブッシュを元気よく発育させるためには、ピートモス、ワラ、モミガラ、樹皮、などの有機物を大量に与えること、とブルーベリーの専門書には書いてあった。
「有機物で厚さ十センチくらいにマルチする」とも書かれていた。
しかし、これを広い面積にやるのは大変なことだ。

 軽トラックで数回運んだくらいでは間に合いそうになく、往復二十回は必要だろうな。
しかも大津さんの説明では、ワラは一年、ピートモスは数年で分解して無くなってしまうという。
こりゃ大変だ!。

 さらに、ハイブッシュは夏に枯れやすいそうで、ここ茨城県は東京都よりも涼しい地域だが、東京から南の地域ではハイブッシュの栽培はどうなっているのか心配な気がした。
大津さんのブルーベリー園には、ラビットアイのティフブルーも植えてあった。
これは順調に元気良く育っていた。
オレ個人が栽培するなら、ラビットアイを台木にしてハイブッシュを接ぎ木して育てるのが良いな、と思った。

ブルーベリーの楽しい収穫
 「ブルーベリー春園」で収穫の六月十九日は、梅雨のため雨天気味だったが、摘み取りの時間は降らなかったのでラッキーだった。
ブルーベリーの畑に入ったら、おおっ〜、青い果実がギッシリ成っていた。
すごいもんだ!。
そして、粒のサイズはデカイものが多数混じっていた。

 さっそくうまそうなのを注意深く選んで、ていねいにつまんで、口に入れた。
うまいっ!。
甘味も十分、酸味ほどよく、歯触りよく、じつに立派だ。
これこそ、本物のブルーベリーの味じゃねえかという見事な味だった。

 大津さんの説明によると、取った果実の裏側の付け根周辺が白っぽかったら、まだ完熟ではないという。
裏側全体が黒く熟していたらOKだ。

ハイブッシュ苗を再購入 一九九九年初夏
 オレはラビットアイは栽培していたが、ハイブッシュはほとんど栽培していなかった。
ハイブッシュのうまい果実を食べて、ウラヤマシイと思ったオレは、ただちにハイブッシュを栽培することを決意した。

 ハイブッシュはラビットアイよりも早い時期に収穫できるから、時期的に重ならなくて都合がいい。
そうはいっても梅雨の真っ最中になるが、な〜に、毎日雨が降っているわけじゃないから、それほど大きな影響があるとは思えん。

 現にブルーベリー園では、ちゃんと収穫できているんだからな。
商品として出荷の場合は、水分が付いていると痛みやすくなる心配もあるだろうけど、オレはその場で食ってしまうからあまり関係ないはずだ。

 近くの園芸店にハイブッシュの苗を探しに行ったら、半ば偶然ながらウェイマウスとブルークロップの大きな苗木を発見!、ただちに購入した。

ピートモス
 そして、ピートモスだ。
これが必要で、かつ、これが問題だ。

 ラビットアイと違って、ハイブッシュはピートモスという酸性の土(培養土?)がないと育たないんだそうだ。
いやでもピートモスを買わねばならないわけで、苗木だけでもカネがかかるってのに、しょうがねえな〜。

 ハイブッシュの土の酸度は、ph(ペーハー)四・三から四・八であることが適正だそうだ。
なお、ラビットアイはph四・五から五・五が適正だ。
さて、日本の土壌はph六ぐらいが一般的だそうだ。
一方、ピートモスはph四ぐらいだ。
ここで計算だ。

 関東の黒土の酸度はわからないが、ラビットアイが一応よく育つから、ph五だと仮定しよう。
黒土の酸度を、ハイブッシュに適正なph四・五にしたい。
ピートモスをどれだけ混ぜれば、ph四・五になるか?。
黒土ph五、ピートモスph四、だから、半分ずつ混ぜれば、ph四・五になるはずだ。

 では、一平方メートル深さ二十センチまで、ph四・五にしたい。
ピートモスはどれだけ必要か?。
一平方メートルで深さ二十センチは、容量は二百リットルだ。

 土の半分ほどピートモスが必要だから、ピートモスは百リットル必要なわけだ。
面積一平方メートルで、ピートモス百リットルか!。
多いんじゃねえか?。

ピートモス発見
 ともかくピートモスを探したところ、ホームセンターの肥料コーナーで見つけることができた。
お菓子の「カール」ぐらいの小袋で、五リットルで二百円だったかな。
え〜と、一メートル四方につきピートモスは百リットル必要だっけな。
じゃあ、どれだけ買えばいいのかな…。

 計算した結果、オレはあまりにもアタマにきた。
たった一平方メートルで四千円だ!。
無理だっ、こりゃあ〜!。

 最近になって、特大で割安のピートモスを見つけた。
容量は約二百リットルで、値段は約二千円だ。
一気に割安になったが、それにしても巨大な袋だ。
しかし、これを全部使っても、ピートモス二百リットルは二平方メートルの面積にしかならんぞ。

 本には、苗木を植えるさいにピートモスをシャベルで一、二杯やる、とか書いてあったが、全然足りないと思うぞ〜。
結局オレは、ハイブッシュは鉢植えで栽培することにした。
植木鉢は容量十リットルぐらいなので、小袋のピートモスでも充分間に合う。

補足説明 ブルーベリーの用土うんたらかんたら
 販売されているピートモスだが、石灰で中和されているものもあるようだ。
でも、オレは近所で「酸度無調節」と表示されているピートモス売り場を見つけたので、今となってはあまり関係ない。

 また、本によると、ピートモスに鹿沼土を混ぜると良い、とよく書かれている。
鹿沼土というのは、酸性の土だ。
しかし調べてみると、鹿沼土はph五・五〜六・〇だそうで、ハイブッシュ系ブルーベリー用(適正酸度ph四・三〜四・八)には酸度が全然足りないじゃん。
鹿沼土は、単に排水を良くするためとして、ピートモスに混ぜると良いらしい。

 肥料についても、酸性の肥料が良い、と本に書いてあった。
が、ピートモス自体が腐葉土みたいなものだから、肥料はやらなくても元気に育つらしい。
ピートモスだけで栽培しても、大丈夫らしい。

 そもそも、ブルーベリーの苗木は値段が高いのに、小さい木だから多数必要で、しかもピートモスまで買わなきゃならないのは仕方ないとしても、鹿沼土も混ぜると良いとか、酸性の肥料をやりましょうとか、鳥の食害防止に網が必要とか、いちいちカネばかりかかる話で、そのうえマルチング用にワラだのチップカスを敷くべきだの、水やりは数多くやるべきだの、できれば撒水施設があるといいとかかんとか、カネとテマばかりかかってメンドくせーな、うがーっ!。

ハイブッシュの鉢植え
 オレが使っている植木鉢は、プラスチックの「長鉢九号」だ。
鉢としてはデカイ方で、値段も高い。
なんでこんなのを使っているかというと、コンクリート管にハメるためだ。

写真
左方にある白っぽいのが該当土管

 このコンクリート管は昔の下水管のもので、国道沿いのオレんちでは以前使っていたらしいが、側溝改修工事のとき、そのままオレんちの敷地に残された。
よその家にも置かれたままのものがあるようだ。
でかくて重くてジャマで、二十年ぐらい放ったらかしだった。

 だが、このコンクリート管を立てて、プラスッチック鉢をハメ込むと、鉢は雑草に埋もれず日当り良好!、安定度抜群、植木鉢の底から根が地面に伸びることもなく、こりゃ便利!、なことを発見した。
現在、ブルーベリーの苗木を育てるのに役立っている。

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